話は結婚3年目に遡ります。夫の博之さんは精神的なバランスを崩し、休職の末に退職。一時的に職を失っていたとき、佳純さんが家族を養う代わりに育児や家事の大半は夫が担当していました。そして2020年2月、新型コロナウイルスが蔓延。リモートワークが推奨される中、佳純さんの勤務先も例に漏れず。出社は毎月1回程度で、それ以外は在宅勤務を余儀なくされたのですが、育児、家事の担当は夫のまま変わりませんでした。

SNSで出会った男性と恋仲に発展

 このように夫婦の役割が逆転した生活に佳純さんは息苦しさを感じていたと言います。そんな佳純さんが気を紛らわすために書き込んだのはmixiの掲示板。「誰でもいいから話を聞いてほしい」と救いを求めると、ある男性が即答してきました。その彼とLINEのIDを交換し、やり取りをし、そして直接会うことに。そして恋仲に発展したのです。筆者は「旦那さんに怪しまれなかったのですか?」と指摘すると佳純さんは「怪しまれました」と答えます。

 佳純さんが意中の彼と会っていたのは木曜日の2時間だけ。「毎週毎週、一体どこの誰と会っているんだ?」と夫は疑いの目を向けてきたそう。佳純さんは「仕事の付き合い」と誤魔化したものの、夫は「どこの店で会ったんだ!」と追及の手を緩めません。佳純さんは仕方なく店名を教えたのですが、「これが失敗だったんです」と悔やみます。店名というたった1つのヒントから、夫は彼の素性を特定したのです。デートで毎回、同じ店を使っていたことが仇に。

 どうして特定できたのでしょうか? 実は調子にのった不倫相手の彼が「思い出を作ろうぜ」と言うので、佳純さんと彼はスマホでInstagramのアプリを開き、位置情報を追加できる「チェックイン」ボタンを押すという「デートの記念」を毎回、残していたそうです。夫はその店にチェックインした人の一覧を確認。そして木曜日のたびに佳純さんと同じ時間に入店したアカウントを執念で探し出したのです。「これは誰なんだ!」と指摘してきたそう。佳純さんは「いいじゃないの。私たちはとっくに終わっているんだから!」と逆ギレ。

 筆者は「なぜ、こんなことをしたんですか?」と尋ねると、佳純さんは「私だけ『家族』じゃないような気がして……」とこぼします。子どもは1日の大部分を夫と接しているので佳純さんより夫に懐いており、佳純さんは相手にされず、母でありながら子どもとの間に距離を感じていました。そのうち、週末は佳純さんが留守番をし、夫と子どもが遊びに行くように。不貞腐れた佳純さんは転職の際、土日出勤の会社を選んだので、ますます家庭内で孤立していったのです。そんなとき、寂しさを紛らわすために参加したのがmixiの掲示板。優しくしてくれた男に気を許したというのが不倫の経緯です。

これ以上、この家にいても仕方がない

 佳純さんが夫に「あんたたちが勝手にして、私をのけものにしてきたじゃない!」と訴えかけても、「一緒に出かけても、いつも不機嫌じゃないか」と返され、また佳純さんが「あんたが無視するから、私は居場所がなかったの!」と吐露しても、「居場所がないのは佳純のせいだろ?」と相手にされず。これ以上、この家にいても仕方がないと覚悟を決めたそうです。

 佳純さんは「これから、どうなるんでしょうか?」と不満を口にするので、筆者は「お子さんもまだ小さいですし、旦那さんは離婚を望んでいないのでは? きちんと謝り、心を入れ替え、二度と同じことをしないと誓えば、結婚生活を続けられるかもしれませんよ」と助言しました。

 さらに離婚した場合を想定し、「不倫をした妻が親権を持つ場合もありますが、どうしますか?」を投げかけたところ、佳純さんは厳しい表情に変わりました。佳純さんは「息子が私のiPadを見てしまって……」と振り返ります。実のところ、早い段階から離婚を視野に入れていた佳純さんは、離婚本の電子書籍をダウンロードしていたそう。iPadで読んでいたのですが、たまたまロックしていない状態で息子さんが操作。4冊の離婚本が表示されたのを見た息子さんが、「ママは離婚するの?」と尋ねてきたそう。