目次
Page 1
ー がん治療の負担額は方針や進行度しだい
Page 2
ー 高額療養費制度の他利用できる制度が
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ー 認知症は出費のほか、介護者の収入減も
Page 5
ー 判断力低下による想定外のトラブルも
Page 7
ー 人工透析なら障害年金を受給

 いまや、日本人の2人に1人ががんにかかる時代。そこで気になるのがお金の問題だ。がんになったら、いったいいくらかかるのか……。

がん治療の負担額は方針や進行度しだい

「ある調査によると、がんの治療にかかった自己負担費用の総額は、平均56万円です」

 そう教えてくれたのは、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん。注意すべきは、これがあくまでも「平均」にすぎないこと。

 同調査で一番多かったのは20万~50万円というケースだが、10万円以下だった人が2割、逆に100万円以上かかった人も1割いる。なぜこんなに差が?

「まず、がんの種類や進行度で治療費は変わります。そして、もっとも左右するのは治療に対する考え方、価値観です。どんな治療をどこまで受けるか、セカンドオピニオンを受けるかどうか。

 また、入院中に差額ベッドを利用するかどうかで病院に支払う費用は大きく変わります。都市圏では差額ベッド代が1泊1万円を超えるのが普通ですから」(黒田さん、以下同)

 公的な健康保険には「高額療養費制度」があり(詳しい説明は後述)、1か月あたりの治療費が約9万円以下に抑えられるはず。それなのに100万円以上かかることがあるなんて……。

「実は、がんにかかるお金は3種類あります。そのうち、高額療養費が適用になるのが1種類だけなんです」

 3種類の費用とは次のとおり。このうち、差額ベッド代や交通費などは高額療養費制度が適用されない。治療中の心身の負担を減らそうと個室やタクシーを利用していると、自己負担が大きく増えてしまうのだ。

がんにかかるお金

 高額療養費制度の対象は(1)だけ! (2)と(3)は自己負担なので要注意

(1)病院に支払う治療のためのお金

 検査、診察、治療、薬、入院などのための費用

(2)病院に支払うプラスアルファのお金

 差額ベッド、入院時の食事代の一部、先進医療などの費用

(3)病院以外に支払うお金

 交通費、抗がん剤治療などのために病院の近くに宿泊するための費用、健康食品、ウィッグ購入費など