目次
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ー 数値の下げすぎが危険な病気を招く
Page 2
ー コレステロールが心身の活力を生む
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ー 血糖値ちょい高めで危険な低血糖を防ぐ ー やせ型は死亡リスク高!ちょい太めで健康長寿

 健康管理のために受ける、年に1回の健康診断。血圧やコレステロール値が高めだと指摘された場合、食事で減塩に励んだり、肉を控えたりして数値を下げようとするのではないだろうか。

数値の下げすぎが危険な病気を招く

 ところが、30年以上にわたって高齢者医療に携わり、多くの患者を診てきた医師の和田秀樹先生は、60歳をすぎてからの健康診断では、数値が高めでも気にしなくてよい項目があると話す。

「検査結果の数値が基準値を超えているからといって、必ずしも病気ということではありません。むしろ、数値を下げることばかりを考えて極端な食事制限をしたり、薬を常用して数値を下げすぎたりすることで、健康を損ねるおそれがあります。

 数値が高ければ薬を飲んで下げるのが当たり前だと考える人が多くいますが、高齢になったら健康診断の見方を変えるべきです」

 健康診断で特に指摘されることが多い血圧やコレステロール血糖値

 これらが高いと動脈硬化などが進み、脳卒中といった深刻な病気のリスクが上がる。若い世代や中年世代は気をつけたほうがよいが……。

「動脈硬化が進むいちばんの要因は加齢です。60歳をすぎたら誰でも動脈硬化がある程度は進み、70代は過半数が中等度以上の動脈硬化になっていますので、年をとればそれらの数値は高くなりやすくなります。下げすぎのほうが要注意です」

 例えば血圧。高齢になると血管が老朽化して狭くなり、強い圧をかけて血液を巡らせる必要があるので血圧が高くなるのは自然な現象だ。

「個人差はありますが、150台でもそれほど気にする必要はないと思います」

 注意すべきなのは、高血圧で血圧を下げる薬を飲んでいる場合だと指摘する。

「血圧を下げる降圧剤には、頭痛やめまい、腎機能の低下といった副作用がありますが、高齢者が最も注意すべきなのは、薬の服用による意欲や活力の低下です。意欲が低下すると、外出するのが面倒になって家にこもるケースが増えます。

 そのような生活を続けていると運動不足で筋肉が落ち、筋肉量と筋力の低下が急速に進むサルコペニアという状態に陥ってしまいます」

 サルコペニアは悪化すると、日常の身体活動を維持する力が弱まり、フレイルという衰弱状態を招く。

「フレイルは、いわば要介護状態の一歩手前。降圧剤を飲み続けて家にこもる生活は、寝たきりの時期を早めることにつながります。降圧剤を服用する場合は血圧を下げすぎないように気をつけるべき。

 自分の身体の状態を把握し、医師に相談して薬の種類や量を調節しながら、血圧をコントロールすることが大切です」