背骨を整えるには「短回旋筋」がカギ

 ゆがみやすい上に、自分では気づけない背骨のゆがみ。改善してひざ痛を軽減させるには、どうすればよいのか。

「目や脳が視界を補正しなくてよいような状態で、身体の奥にある短回旋筋という筋肉を鍛えることが重要です。

 短回旋筋は、背骨を構成する24個の椎骨一つひとつを結ぶようについている、小さな筋肉で、筋肉の伸び縮みを感知するセンサーのような役割を持っています。この短回旋筋を鍛えれば、背骨の軸が整いやすくなり、よい姿勢にしていくことが可能なのです」

 今回紹介する「天井にらめっこ体操」は、中村先生が考案した短回旋筋を鍛えるための体操

「この体操は、背骨一つひとつに上からの重力がかからないあおむけの状態で、天井の1点を見つめて行います。視覚はバランスにもっとも重要な感覚のため、天井の1点を見つめることで、身体の軸が整いやすい状態になります。

 その姿勢のまま、両ひざを左右に揺らすことで、効率的に短回旋筋を鍛えることができるのです。朝昼晩、お好きなタイミングで1日3分程度続けてみてください」

 重度の変形性ひざ関節症で、「人工関節手術が必要」と医師に診断された、ある60代の女性は、「天井にらめっこ体操」をはじめとした中村先生のメソッドを実践したところ、3か月後にはひざの痛みがなくなり手術を回避できたというから、試してみない手はない。

「重要なのは、ひざを左右に倒す動きではなく、きちんと正しい姿勢で行うことです。これにより、背骨の柔軟性が高まり、より姿勢が整いやすくなります。

 ひざを左右に倒すことに集中してしまい、天井の1点を見つめている姿勢を崩さないように注意してください」

 また、多くの人は自分の姿勢が悪いことに気づいていないので、セルフチェックをすることも大事だという。

「おすすめしたいのは、一度でいいので、ご自身の立ち姿、歩き姿を録画して確認することです。スマホを机に立てかけて、その場で足踏みする姿を、前後左右から自撮りしてみてください。

 客観的に自分の状況を確認することで、『自分はこんなに猫背で歩いているのか』など気づくことができ、正しい姿勢を習慣化する助けとなってくれると思います」