■最後くらい自分の人生を優先したい

 50代以上に特化した結婚相談所『アイシニア』の代表で、カウンセラーの池田淳一さんは、中高年がパートナーを求める気持ちには強いものがあるという。

「自分の人生の最後を見据えて今後を考えると、やはり一緒に支え合っていけるパートナーが欲しいと思うようです。中高年だと周りに既婚者が多いので、みんなで集まってワイワイやるときも自分だけが独身だと寂しさが強くなるのでしょう」

 子どもが成人したとか就職して家を出たとか、ひとりになったとき、“これからは自分の人生を考えてもいいのではないか”と申し込んでくる人が多いそう。

 一方、経済的な不安を感じている女性も多い。そのため、こんな男性がモテるとか。

「家や資産があったり、定年のない仕事についている男性は人気があります。大企業をリタイアした場合も年金が見込めますから条件はいい」(池田さん)

 下の表のとおり、婚活支援サービス『パートナーエージェント』による50歳~69歳の未婚男女2000人を対象にした調査でも、その傾向が見てとれる。“婚活する理由”について尋ねたところ、「経済的に不安だから」との回答が女性の上位にきている。

 坂田葵さん(仮名・48)も、金銭的な不安を胸に、婚活に励むひとりだ。

「20年前に離婚して、必死でダブルワークしながら子どもを育ててきました。気づいたら子どもは独立し、ひとりきり。そんなとき体調を崩して入院して……。貯金も家もなく、この先、どうやって年を重ねていくのかと絶望的な気分になって、婚活を始めました」

 男女問わず、なかなか相手が見つからないのは、こだわりの強い人。

「自分を大事だと思うなら、デートの費用はすべて男性が出すべきだと考えている女性もいます。最初からそういう考え方だと、男性からは不信感を抱かれますね」(池田さん)

 今日は男性が奢ってくれたから、次は自分が出そうという姿勢でいる女性は好感度が高い。まだデートの段階なのだから、フィフティフィフティでいこうと思えるかどうかが重要だ。

「20代から30代の場合、結婚して子どもをもちたい人が大半ですが、中高年の場合は子どもが欲しくて結婚するわけではない。家族が欲しいのではなくて、パートナーを望んでいる。自分の人生をより豊かに、充実したものにするのが目的なんですね。

 だから、最終的にいちばん大事なのは価値観が合うかどうか、一緒にいて楽しいかどうか。そこを重視する方が多いです」(池田さん)

 アイシニアの場合、会員の約7割が半年から1年で相手を決めるという。必ずしも法的結婚ありきではなく、事実婚も少なくない。

「お子さんがいると、財産分与の問題もあるので法律婚を望まない人もいます。お互いに納得していれば事実婚もありでしょう」(池田さん)

 20年に及ぶカウンセラー体験から、「最近は中高年の婚活が増えている」と実感するのは、結婚相談所『スターブライダル』の河西智恵子さん。

「夫のDV、借金、浮気や性格の不一致などに耐えてきて、子どもが成人してようやく離婚する人も増えています。その後、ひとりになってホッとするものの、やはり人間はひとりでは生きていけない。寂しいうえに、単身の生活は殺伐とするので、パートナーが欲しいと登録される女性は多いですね」

 最初は資産のある男性がいい、1円でも収入の高い人を、と言っている女性でも、いざとなると、やはり相手の人間性を重視する。

「男性も女性も、人生経験が豊富だからこそ、自分の経験に頼って相手を決めつけてしまう。また、男性はいくつになっても女性に自分の理想を押しつけるところがあります。そんな男性特有の性格を理解したうえで、上手に受け止めてあげる賢さ、器の大きさを見せることも、時には必要だと思います。私はよく言うんです。“バカ利口になりなさい”と」(河西さん)