撮影/竹内摩耶

 中3長女、中1長男、小5次女、小3次男、小1三男の5人の子どもの母として、そしてフリーアナウンサー、司会、講演会活動、女性学の講師、食育家など幅広い仕事をこなす岡本安代さん。

 これまで地元の鹿児島を中心に活動されていたのですが、昨年、バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』に家族で出演したコーナーが人気となってシリーズ化、“熱血ポジティブキャラ”として全国的に知られるようになりました。最近では『踊る!さんま御殿!!』に単独で出演するなど、八面六臂の活躍をされています。

 その岡本さんが念願だったという、家族への思いと自身の半生を綴った『「大変だ」と言わずに笑おう! 岡本家、家族の約束。』(双葉社)を出版され、鹿児島では売り上げ1位になるなど話題沸騰中です。

すべてに全力! 5人の子のママウンサー

「もともと“自分発信をしたい”というのがあってアナウンサー職を選んだんですが、結婚と出産で仕事をやめて、それができない状態になったんです。どの扉を開ければ状況がよくなるのか全然わからなくて、家でひとり悶々としていたとき、弟に教えてもらってブログを始めたのが、文章を書くきっかけでした」

 ブログを始めた岡本さんは当初、長女の育児などについて書いていましたが、不特定多数の人に文章を読まれるようになったことで、さまざまな変化が起こったと言います。

「それまでは闇雲に書いていたのですが、自分の気持ちを整理しながら書くようになりました。すると共感してくれる仲間が増えて、“みんな一緒なんですね”“読んでて元気をもらいました”と気持ちをシェアし合える喜びを感じたんです。

 みんなに受け入れられよう、なんて大それたことは思わないですけど、たったひとりでもいいから、ふさぎ込んでいた人が“明日から頑張ります”と言ってくれたり、互いに励まし合ったり、高め合ったりできたらいいなと思うようになったんです」

文章を書くことで前向きになれた

 日直制度があり、毎日、何でも家族で話し合うという岡本家のスローガン「テンション高めに! 腰は低めに! 人にはやさしく!自分に厳しく! 同じやるなら全力で!」から始まる本書。

 前半は家族との関係や日常が、後半は岡本さんの半生が語られており、もともとは引っ込み思案で、周りの反応を気にしていたという岡本さんが、なぜ今のような熱血ポジティブキャラになり、物事を前向きに考えられるようになったのかが綴られています。

「私は、嫌われたくない、怒られたくない、と常に“〇〇したくない”と思っていた子でした。大人になってからも相容れない人とずっと一緒の仕事が続いたときに味覚障害が出てしまって、病院で“それは疲れかストレスが原因”と言われたくらい。

 そこで“よし、収録は別人格で演じよう!”と思った。そうしたら、ほかのこともそう思えばいいということに気づいて。育児でズドーンと凹んだときには“私は女優、今は人生というドラマの上演中!”と思い、家事が忙しいときは“家事フェス”を開催するんです。

 次、洗濯いってみよう、イエイ♪ 靴下どれが誰のかわかんない、それも人生! みたいに思うと、楽しくないですか?(笑)。

 もともと私は暗闇にいた少女だったんです。でも、そこから出して出して! ってノックし続けた。そうやって思い続けると扉がほんのちょっと開いて光が差し込んで、いつか全部開いて外へ出られる日が来ると思うんです」

 そう思えるようになったのはブログの存在が大きいと言います。

「文章を書いていると、感情的になってるって冷静に自分を見ることができて、もうひとりの自分と話ができるんです。そして書くことで、自分を鼓舞することもできる。内面が弱いからこそ、なんで私だけって思ってしまったり、メンタルってなかなか上がらないよね~という弱い人の気持ちがわかる。家事と育児の両立はキツいよね~というのも、経験したからわかるんです。

 だからこそ“みんな一緒だよ”って感じてほしい。明るく前向きに、なんて強要されることではないですけど、たいていのことはなんとかなるし、そう信じることから始めましょう、って言いたいんです!」