お母さんは「こうあるべき」って、いつから決まったの?(写真はイメージです)

 朝ごはんやお弁当を用意して、子どもを起こして、会社に行って、帰宅時に買い物をして、夕食を作って、洗濯をして、たたんで……。

 とかくお母さんは忙しいもの。夫の家事育児なんてアテにならないし……。でも、しかたがない。だって私はお母さんだもの。そういうものだもの。

 子どもが健やかに成長するためには何事も手抜きはしないほうがいいっていうし、手作りこそが愛情だし。家族の笑顔のために、私は今日も身を粉にして頑張るわ! それが母性ってものだから─。

◆  ◆  ◆

「うんうん、そのとおり!」「これこそ日本のお母さん!」と、うなずいた人、ちょっと待って。どうしてお母さんだけ、こんなに頑張らなくてはならないの? そもそも“母性”って、なに?

苦しんでいる母親たち

「私も、最初の子どもが生まれてから数年は、世の中で“お母さんはこうあるべき”“これをしてはいけない”と言われていることを、とにかく守らなくてはと思ってきました。“あれ? 何かおかしいな”と感じたことでも“それがお母さんという存在なんだから”と受け入れようと努力をしてきました」

 こう語るのは、最近出版した『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)という本が話題になっている、ライターの堀越英美さんだ。

「自然分娩の痛みを乗り越えてこそお母さん」「母乳のためには和食がいい」といった根拠があやふやな情報や、周囲からの指摘に振り回され、精神的にも肉体的にもボロボロになってしまったという堀越さん。

 だが、SNSを見たら、自分のように「こうあるべき」という建前どおりにいかないと苦しんでいる母親たちが多数いることを知った。

 そのうえ、「授乳中にはスマホを見ないほうがいい」といった、これまで子どもの発達に支障をきたすといわれていた通説に対し「なんの根拠もない」と言い切る医師など専門家の声も多数見えてきた。

「世の中は、なんでも便利になっていくのに、どうして女性、特にお母さんにまつわる物事だけは、つらいのが当たり前という考え方がよしとされるんだろう。それが気になって、調べてみようと思ったのが、この本のきっかけです」(堀越さん)

 調べていくうちに、事態はなかなか複雑だということがわかってきた。