過食や偏食を避け腎臓をイキイキ!

「多くの人は腎臓の状態を意識せずに食事をしていますが、老廃物のろ過機能を担っている腎臓は、食べ物の影響を大変受けやすい臓器です」(上月先生、以下同)

 腎機能の低下は、初期では自覚症状がないため、重篤な状態になるまで気がつかないケースもある。

「腎臓を守るためには、塩分とカロリーのとりすぎにも要注意。カロリーオーバーはもちろんですが、塩分のとりすぎのチェックにも、体重記録は役立ちます」

 塩分をとりすぎると、腎臓は塩分濃度を一定に保とうとして身体に水分をため込むため、体重が増えるのだ。

 腎臓にやさしい食事、つまりは健康な身体を長持ちさせる食生活を、今日から実践!

寿命を5年延ばす「肉・魚・卵」

「臓器や血管を長持ちさせる、栄養価の高い動物性タンパク質は長寿のカギ」(上月先生)。おすすめの部位や食べ方は?

サラダチキン

 鶏の胸肉やささみを蒸して味つけした「サラダチキン」。脂身が少ない良質なタンパク源、そのうえコンビニなどで買えるとあって、上月先生も愛食している。

「ただし塩分にはご注意を。裂いて野菜と一緒にあえ、調味料がわりにするとよいでしょう」と森下さんはすすめる。さらに塩分が気になる人は、洗って塩抜きするのも有効だ。

ローストビーフ

ローストビーフ ※画像はイメージです
ローストビーフ ※画像はイメージです

 低脂質な赤身の牛肉は良質のタンパク源。その栄養素を余すところなく摂取できる調理法として、森下さんはローストを挙げる。

「生肉には消化に役立つ酵素が含まれています。じっくりと長時間加熱するローストだと、その酵素が残っているので、消化吸収がアップするんです」

レバー

 肉の中でも、森下さんが特に「食べてほしい」と挙げるのがレバー。

「抗酸化作用があり、粘膜の健康を保って免疫機能を高めるビタミンA、動脈硬化を遠ざけるビタミンB2が豊富。女性に不足しがちな鉄分や、血液をつくるビタミンB12や葉酸も含まれます」

さば水煮缶

さば水煮缶 ※画像はイメージです
さば水煮缶 ※画像はイメージです

 中性脂肪値を下げる必須脂肪酸、EPA。それを手軽にとれるのが、さば水煮缶だ。

「血管の傷を修復して動脈硬化を予防する“長寿ホルモン”アディポネクチンの分泌にもEPAが関わっているんです」(上月先生)。

 さらに「簡単に調理でき、良質のタンパク質もとれます」と森下さんも推薦。骨ごと食べられるので、不足すると高血圧を招くカルシウムもとれる。

サーモンの刺身

「日本人は、高タンパク・低脂質な白身をもっと食卓に取り入れてほしいです」と森下さん。抗酸化作用の高い色素を含むサーモンも白身の部類に入る。

 熱を通さない刺身なら消化酵素を壊すことなく、吸収率もよい。しょうゆのつけすぎを避けるため、薬味やレモンをかけて、塩分は控えめに。

温泉卵

温泉卵 ※画像はイメージです
温泉卵 ※画像はイメージです

 卵は調理法によって吸収効率が異なり、最も効率的なのは温泉卵。

「卵白にはアビジンというタンパク質の一種が、卵黄にはビオチンというビタミンが含まれ、生の状態だとアビジンがビオチンの吸収を阻害します。ですが加熱することでアビジンの働きは失われ、栄養を丸ごと摂取できるようになるんです。半熟卵だと消化吸収率がさらにアップ」(森下さん)

 白身と黄身をかき混ぜない調理法のほうが吸収率がよいので、お弁当にはだし巻き卵やいり卵より、ゆで卵がおすすめだ。