ただ、ストレスが強いと成長ホルモンの分泌が抑制されるため、背は伸びなくなるといわれる。子どもがのびのびと運動できる環境が望ましい。

「身長を伸ばすという面では、バレーボールやバスケットボール、ダンスなど、ジャンプをする競技がおすすめです。

 ジャンプをすることで骨が刺激され、骨を大きくします。特にかかとの骨に強い刺激を与えることがポイント。大人も跳ぶ運動をすると、骨が丈夫になり身長を伸ばすことにつながります」

身長が2cm縮むと女性は要介護リスクが倍!

 まれに成長期が終わっても背が伸び続ける人もいる。プロ野球選手の佐々木朗希投手は2cm、俳優の賀来賢人さんは1.2cm、観月ありささんは0.4cm、大人になってから身長が伸びたとテレビ番組などで語っている。

2019年の千葉ロッテマリーンズ入団時(18歳)、190cmだった佐々木選手。身体強化に力を入れた成果か、2020年のインタビューで「192cmになっていた」と明かした(写真/共同通信社)
2019年の千葉ロッテマリーンズ入団時(18歳)、190cmだった佐々木選手。身体強化に力を入れた成果か、2020年のインタビューで「192cmになっていた」と明かした(写真/共同通信社)
【イラスト】大人にも効果がある「身長伸ばし体操」のやり方

「医学的には『伸びない』ことが定説になっていますが、成長期が終わっても骨全体に散らばっている軟骨芽細胞の働きによって骨全体が大きくなり、身長が伸びるのではと考えられています。これには適度な運動と栄養が必要。

 さらに、何らかの理由で成長ホルモンの分泌が増えれば、軟骨芽細胞の増殖は盛んになるといわれています」

 もうひとつの理由は高林さんの専門分野、骨格矯正による伸長効果だ。

「猫背やO脚の人は姿勢が崩れ、本来の身長より低くなっています。その骨のゆがみをまっすぐ伸ばせば、縮こまっていた分、身長が高くなるんです」

 運動習慣がなく身体の筋肉が不足した結果、猫背になると、太もも裏の筋肉が萎縮するため、骨盤が後傾してポッコリお腹に。反対に骨盤が前傾すれば、内ももの筋肉が衰えてO脚になりやすくなる。

「また、アメリカの研究では、男女共に30歳ごろから背が縮みだすそうです。年齢とともに身長が縮む最大の原因は骨密度の低下による骨粗鬆症といわれていますが、患者さんを見ていると姿勢の悪さで損をしている人も多いんですよ。

 高齢者の背中が丸くなるのは筋力の低下が大きく関係しています」

 厚生労働省の調査では40代に比べて身長が2cm以上縮んだ高齢女性は、介護が必要になるリスクが2倍高いことがわかっている。健康長寿を叶えたいなら、今の身長をキープしていくことも大切だ。