目次
Page 1
ー ネガティブ思考から不安が増す「四月病」
Page 2
ー 変化の数を減らし不安を可視化しよう
Page 3
ー リフレッシュの方法がいくつかあると安心
Page 4
ー 四月病と五月病の違い

「新年度が始まる4月は、公私共に変化が激しい季節。心身に不調が表れる人がとても多いのです」と話すのは、産業医の武神健之先生

ネガティブ思考から不安が増す「四月病」

 一般的には五月病が有名。正式な病名ではないが、ゴールデンウイーク明けに不眠やだるさ、疲れやすさ、集中力ややる気の低下など、心身両方の症状が出る「適応障害」の一種だ。

 新生活で張り詰めていた糸が連休を挟んだことでプツンと切れて、人によっては通勤や通学が難しくなることもある。

「最近では時期を前倒しして増えており、これを『四月病』と呼んでいます。きまじめな方に多いのですが、五月病との違いは『不安』感が強いこと。適応障害になる“一歩手前”という状態です」(武神先生、以下同)

 新年度になると習いごとや勉強などを始めたり、新しい環境に早くなじもうと努力するのは普通のことだ。しかし、まじめな優等生タイプや完璧主義の傾向がある人は「どうなるのかわからない」「うまくいくか心配」といった不安が重なり、疲労から不安が増大する。

「『不安』という感情は自分を守るために必要なものではありますが、日本人は西洋人に比べ、『不安になりやすい遺伝子』を持っている人が多いんです。慎重で心配性なゆえに必要以上に不安になり、ネガティブ思考に陥りやすいと考えられています」

 中でも、40~50代は四月病のリスクが高いと武神先生は話す。

「年齢的な衰えによって体力や集中力が低下し、今までできていたことができなくなったり時間がかかったりするようになります。

 例えば、新年度から子どもの弁当作りが始まり、朝が早くなるなど、ちょっとした変化が疲れや緊張を生み、それが引き金になってパニック発作まで発症することも珍しくありません

 夫や子、親といった自分以外の変化にいや応なしに対応する必要が出てきて、これまでに経験のないことが起きることも多く、些細(ささい)なイライラの積み重ねから大きなストレスに変化しやすい。