老若男女でにぎわうマルカン大食堂のショーケース。働いているスタッフも半数は、以前働いていた経験者を迎え入れたそう

 デパートと聞くと大食堂を思い浮かべる人も少なくないだろう。家族で食べたお子さまランチ、ライスカレー、ソフトクリーム……。

 岩手県花巻市にあるマルカン百貨店は、地下1階、地上8階からなる地元唯一のデパートで、花巻のランドマーク、市民の憩いの場として親しまれてきた。

 しかし、郊外に大型チェーン店が進出するなど、時代の変化とともに建物も老朽化。

 ’15 年には耐震基準を満たさないと診断されてしまい、改修を断念。2016年6月7日に43年の歴史に幕を下ろした。

 この百貨店で最も親しまれていたのが、6階の580席のマルカン大食堂。閉店が発表されて間もなく、地元の高校生による「マルカン食堂の移転存続」を求める署名活動がスタートした。

 そんななか、花巻駅前を活性化させ、新たな手法で雇用を生み出す取り組みをしていた会社『花巻家守舎』が、百貨店側に大食堂を含めた建物全体の運営引き継ぎを申し入れた。

建物内には、閉店したマルカンデパートへの思いがあふれるお客さんの寄せ書きが

 代表の小友康広さんが言う。

移転案も出ていたのですが、やはりこの場所、この眺めでないと意味がないと考えました。

 耐震補強にかかるプランを吟味し、改修に必要な資金調達方法を協議して、インターネットを通じて資金を募る“クラウドファンディング”も活用しました。

 結局、事業計画をもとにした金融機関から融資を受けられたのですが、寄付をしてくれた人を仲間にしたかったんです」