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 マイナンバー制度に便乗した巧妙な手口、住宅業界でまかり通るグレーな契約、老人ホームの信じられない責任放棄……。そこで、あの手この手で迫り来る魔の手を遠ざける鉄則を専門家にアドバイスしてもらった。

 自発的な高額商品の購入を促し、被害者が大金をつぎ込んでしまう『催眠商法』も、今年に入り再燃。被害にあったという克美さん(仮名=60)に話を聞いた。

「最初は無料で家庭用品がもらえるというイベントに喜んで参加しました。5日ほど通って砂糖1キロ、しゃもじなどを毎日もらいました。ハンサムな30代くらいの男性販売員はトークもうまく、とても親切な人だったんです」

 しかし数日後、3人の販売員が大きな荷物を抱えて自宅を訪ねてきたという。

「布団や浄水器を持ち込まれ、“買う”と言うまで、ニコニコ話し続けて粘る。あまりにしつこくて、渋々100万円で2つとも買い取り、帰ってもらいました。タダほど高いものってないですね……」(克美さん)

 詐欺・悪徳商法評論家の多田文明さんは、こう指摘する。

「昔の催眠商法は街頭で商品を配って会場に引っ張り込み、当日中に高額商品を買わせた。しかし今はこれをやると業務停止の処分が下る。そこで、自発的にモノを買わせるように仕向けるべく、長ければ数か月という長期的スパンでイベントを開き、依存と信頼を高めていきます」

 ダマしの被害にあった人は、口をそろえて“まさか自分が”と肩を落とす。

「今後はマイナンバー絡みの詐欺行為がしばらく続くでしょう。他人事だと聞き流さず、あらゆる手口を頭に入れておいてください」