大量のマダニがついた犬の耳。マダニはペットや家畜にも寄生する
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 恐ろしいのはその致死率。国立感染症研究所ウイルス一部の西條政幸部長は、「致死率は25%と非常に高いのが特徴です」と指摘し、

「何より、まずはかまれないことです。畑仕事やハイキングなどでダニが生息しているところを歩くときは長袖、長ズボンを着用し、肌を露出しない。帰宅後は入浴して流しましょう。特にマダニが好むのは、内ももや耳の後ろなど皮膚が柔らかいところです」

 もし、マダニが皮膚にかみついているのを発見したら、

「自分で取らず必ず病院で取ってもらってください。無理に取って皮膚に針が残ると炎症を起こし化膿するおそれがあります」(前出・西條部長)

 とはいえ、SFTSを発症すれば、現在では対症療法しか治療法はない。前出・安川教授らは病気の解明を急ぐとともに、治療薬の研究も進める。一部のインフルエンザ治療薬に効果がみられるのだ。

「研究はスタートしたばかりで解明や薬の普及には時間がかかります。ただこの薬を投与した患者の症状が軽くなり、回復したケースもありました」

 その効果に期待も高まる。

濡れた葉っぱの上にいるヒアリの集団

 刺されたら死に至るケースがあるヒアリ、マダニの一撃。吉村研究員は言う。

「アリをいたずらに怖がらないでください。ヒアリを心配し、アリを駆除しようと大量に殺虫剤を使用すれば環境への負荷もかかり、ヒアリじゃないほかのアリにも影響します。もし在来のアリがいなくなれば逆にヒアリは入りやすくなってしまうんです」

 ヒアリ発見後、各地で問い合わせも増えている。

「ほとんどは地域在来のアリです。見分けるのは簡単ではないですが、日ごろから自然にもっと関心を持っていれば違うものが入り込んできたことの変化にも気がつけます。これを機会に外来種と在来種について考えてほしい」(前出・吉村研究員)

 危険な生物の脅威は、自然に目を向けさせるための警告なのかもしれない。