返済が厳しくなってもやってはいけないこと

 生活が苦しくなり住宅ローンが支払えなくなってきたとき、どのような選択をするかで、その後の運びが大きく変わってしまうので注意をしましょう。

ローンが払えなくなっても、黙って滞納してしまう人が多いようです。しかし、債権者は無断滞納が続けば早く回収しないとまずいという思い、問答無用の債権回収が始まり、競売がグッと近づきます。

 大切なのは滞納する前に、払えなくなりそうだと相談すること。払う意思を見せることで、相手も柔軟な対応をとりやすくなります」(高橋さん)

 何とか返そうと無理をして事態をさらに悪くするケースも。

「何とか返済しなければと消費者金融に手を出す人もいますが、高金利の借金で低金利の借金を返すなんて論外です。絶対にやめてください。

 また、家をとられたくないという思いから何とか住宅ローンは払っても、税金を滞納し続けてしまうという人もいますが、それも、あとあと大きく後悔しますので、やめてください

 税金は支払わなくてもブラックリストにのることはなく、怖い人が取り立てにくるわけでもありません。しかし、延滞税は14%ととても高く、さらに、自己破産をしても帳消しにもなりません。

 税金を滞納して家を差し押さえられると、任意売却をしようと思っても許可してもらえず、競売にかけるしかなくなることも。後回しにしてためこまないよう注意しましょう。

 住宅ローン返済の心得

1.払えなくなる前に相談すべし! 黙って滞納するべからず
2.消費者金融など高金利の借金で住宅ローンを返済するべからず
3.税金の支払いは後回しにするべからず

老後破産しないためのポイント

●フルローンは組まない!
 不測の事態が起こったときに、不動産を売却すればローンを返済できる状態にしておけば、破産という最悪の状態を防ぐことができます。不動産価格の2割程度の頭金を入れれば安心だといわれていますので、参考に。

●連帯債務は避ける
 親子ローンやペアローンなど、連帯債務にすると、片方が働けなくなったときに共倒れしたり、不仲になったときに困ったことになります。一緒に住む場合でも、片方の収入で支払える範囲のローンとし、もう一方の収入は貯蓄や繰り上げ返済にあてるようにしましょう。

(取材・文/鷲頭文子)

●教えてくれたのは 高橋愛子さん NPO法人住宅ローン問題支援ネット代表理事。
宅地建物取引士、不動産コンサルタント。不動産会社を経て、任意売却専門の不動産コンサルティング会社を設立。売却以外にも住宅ローンで悩み苦しんでいる人のためにNPO法人を設立。年間300件以上の相談に乗っている。『改訂版 老後破産で住む家がなくなる!あなたは大丈夫?』(日興企画)など著書多数。