《M-1の自称お笑いファン、お笑い通ぶった自称お笑いファンが集まってるじゃないですか、M-1って。本当のお笑い好きじゃないっていうか。その人たちが“意地でも笑わない”って顔してましたね。“こいつらのこんなネタで笑うワケない”って顔で、俺らのこと見てました。奴らはお笑いが好きなんじゃなくて、お笑いを好きという自分に酔っている人たちですから。

 で、人気者を叩くことで自分がお笑いをわかってると思われたい人たちですから。そういう人たちから見たら、営業でウケるネタはベタだし“何見せてくれてんだ”って思っちゃったんでしょうね》

 12月1日に自身のYouTubeチャンネルで、《M-1準々決勝敗退の心境をノーカットでお送りします。》と題し、動画を配信したお笑いコンビ『EXIT』。

 11月17日に開催された『M-1グランプリ2020』準々決勝で敗退した2人だけに、本気で挑戦したからこその悔しさか、兼近大樹は会場に来ていた“お笑いファン”に恨み節。相方のりんたろー。は隣で苦笑いをするしかなかった。

「この発言にネット上では、同調する一定の声はあるものの、一方で“ただの負け惜しみ”“単なる実力不足”などと炎上したのです。そのビジュアルも相まって人気に火がついたEXIT。吉本のお笑いライブ出演時には多くの女性ファンが出待ちをする、彼ら“第7世代”はアイドル並みの人気です」(スポーツ紙記者)

 この騒動から一夜開けた12月2日、『M-1グランプリ2020』決勝戦(12月20日)に出場するファイナリスト9組が決定。しかし、その中にはバラエティー番組を牽引する「お笑い第7世代」とされる面々が1グループもいなかったのだ。

「第7世代」は本当におもしろいのか

 彼らの中で準決勝まで勝ち残ったのは、2019年大会で3位になった『ぺこぱ』のみ。

EXITをはじめ、今やテレビで見ない日はないほどの売れっ子『四千頭身』、『ミキ』らたちは準々決勝で敗退。また“第7世代”と近い『アインシュタイン』や『ぼる塾』、『ティモンディ』らテレビ常連組も予選で姿を消したのです。『宮下草薙』に至っては、多忙でネタが作れなかったのか出場すらしませんでした

霜降り明星』が2018年大会を制して以降、一躍、バラエティ番組などを中心に担がれた第7世代ですが、予選で壊滅したことで“彼らは本当におもしろいのか”という疑惑の目が向けられそう」(放送作家)

 第7世代は「おもしろいのか」、お笑い評論家のラリー遠田氏に話を聞くと、まずは「営業とM-1は別物」と解説する。

「営業というのは、例えばショッピングモールなどでお客さんを集めるために人気芸人を呼ぶのですが、イベントスペースなどで無料で気軽に見に来られるのが通常で、人気者が出ているから“じゃあ、見ようかな”と足を運ぶわけです。その状況で生まれる笑いと、コンテスト予選で笑わせられるかどうかは単純に別物で、(お金を払って見る分)シビアになります。

 そもそもM-1の予選を、一般の人はどうやって観に行けばいいか、チケットを取ったらいいか、どこに会場があるのか、下手すれば予選の存在すら知らない人もいるかもしれません。それをわざわざ調べて、自分でチケットを買って観に行く人たちですから、基本的にはお笑いが好きな人たちで、お笑い観賞に意欲的な人たちだと思います」

 普段は笑いが起きているであろう営業と、M-1予選に来る客層はまったく違うようだ。これに関しては、兼近が“お笑いファン”を恨むのはお門違いかもしれない。そして、肝心の第7世代に関しては、

おもしろいかおもしろくないかと言われたら、みなさんプロなので当然おもしろいんですよ。その中で誰がおもしろいのかを決めるのがM-1などの賞レースです。敗退グループが決しておもしろくないわけではなく、あくまでもコンテストとして比べて“こちらのほうが良い悪い”という細かい差を見ている大会なのです。

 例えばオリンピックの100メートル決勝で最下位だった選手は、足が遅いのかといったらものすごく速いですよね。でも、プロの間では0.01秒の差で順位がつくように、“なぜ第7世代がM-1で負けてしまったのか”と言われたら同様に、プロ同士で競ったときに微妙な差で今回のような結果が出ただけで、単純にネタが及ばなかったのです」(ラリー氏)

 冒頭の動画では《(多忙なスケジュールの中で)今できる全部は出した》と話し、来年の決勝進出を誓った兼近。アイドル的な立ち位置ではなく、芸人として第7世代の実力と存在感を発揮することを期待したい。

※誤字を訂正(2020年12月4日22:20更新)