元東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗氏の、「有名人は田んぼを走るといい」という発言後に、自身のYouTubeでオリンピックの聖火ランナーを辞退した、ロンドンブーツ1号2号の田村淳

 4日に行われたイベントに出席した際には、森氏の、コロナがどんな状況であろうとオリンピックを開催するという発言に理解ができなかったため、「僕はオリンピックを盛り上げることができません」と語っていた。

 さらに、世界中に大きく問題視された、森氏の女性蔑視発言も加わり、オリンピック・パラリンピックのボランティアの辞退者が続出し、現時点で500人を超える状況を引き起こしてしまった。

「淳さんのような影響力ある人物が堂々と意思を表明したことは、一般のボランティアも動かした部分はあるでしょうね。森さんが会長を辞任したことで、いったんこの流れは収まるとは思いますが、オリンピックを歓迎しない空気はこの先も続くのではないでしょうか」

 と、ある芸能ジャーナリストは言う。

今後、芸能人の辞退はあり得る?

 聖火ランナーに選出された芸能人、著名人、アスリートはたくさんいる。主な人だけを見ても、以下のような豪華な顔ぶれがズラリと並ぶ。

高木菜那・美帆姉妹(北海道)、のん(岩手県)、サンドウィッチマン(宮城県)、壇蜜(秋田県)、なでしこJAPAN(福島県)、香川照之(福島県)、田臥勇太(栃木県)、羽生善治(埼玉県)、増田明美(千葉県)、白鵬(東京都)、出川哲郎(神奈川県)、小平奈緒(長野県)、岩崎恭子(静岡県)、宇野昌磨(愛知県)、武豊(滋賀県)、片岡愛之助(大阪府)、笑福亭鶴瓶(兵庫県)、有森裕子(岡山県)、高橋大輔(岡山県)、為末大(広島県)、広末涼子(高知県)、石原さとみ(長崎県)、指原莉乃(大分県)、具志堅用高(沖縄県)……

「そんな顔ぶれがみんな田んぼを走るというのはねぇ(笑)。逆に田んぼに多くの人が殺到しかねません」(同)

 田村淳の影響を受けて、このような顔ぶれが次々辞退することになったら、深刻な事態になりそうだが、前出のジャーナリストは「それはない」としつつ、その理由を語る。

「もしそういう流れが起こるとしたら、淳さんの発言直後に次々と賛同して辞退する動きになっていたと思います。後に続く人がもう数人出てくると思ったのですが、森さんの失言問題からの動向が注目され、辞退するタイミングを逃した人もいたかもしれません。結局、森さんの辞任が決まったので、辞退連鎖は絶たれたということでしょうか

 森さんの失言の影響は大きく、一部の聖火ランナーとボランティアの辞退者には“復帰”を求める声も多いが、一度決めた意思は固いという。

 今回の五輪開催は、例年になく一筋縄ではいかないのが現状。ワクチンの接種や、新型コロナウイルスへの対策が、最大の課題であることは間違いない。今後も、開催をめぐる“辞退問題”は起こりうるのだろうか。

「現時点で、世論はオリンピックの開催を望まない声のほうが多いように思います。“まだコロナが収まってないのに”という空気がある中、テレビなどが煽ったとしてもそう簡単に再び盛り上がる空気を作ることはできない。この先、強引に開催するような進行をすれば、一般層に対する好感度を優先して、聖火ランナーだけでなく開会式に出演する著名人の辞退も出てくるでしょう」(スポーツ紙記者)

 昨今のSNSの普及で、著名人・芸能人もハッキリ自分の意見を言える環境がある。

「所属事務所やスポンサーなどのしがらみに関係なく、SNS上で政治批判をする有名人も増えてきています。国や都が主導となってオリンピック開催に向けて動いていますが、あまりにも理不尽なことや強引な進め方をすれば、ハッキリ異を唱える有名人が出てくるかもしれませんね」(同前)

 コロナの先行きが見えないだけに、オリンピックとどう関わるのが得策か、有名人も自身のイメージのために空気を読む力がいっそう求められそうだ。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉