今までの通販番組といえば、出演者は名前も聞いたことがなかったり、旬を過ぎたタレントが起用されていたイメージ(失礼!)。しかし、最近はゴールデン帯の番組でレギュラーや司会を務めるような人物も多くキャスティングされている。そこにはコロナ禍ならではの事情もあるようで──。

通販番組のトレンド

「買います! 買わせてください!」

 フライパンを手にしながら叫ぶのは、『ヒロミの集結!スゴ腕カリスマバイヤーズ』(フジテレビ系)で司会を務める、番組名にもなっているMCのヒロミだ。

「通販会社のバイヤーがヒロミさんに選りすぐりのアイテムを紹介する、というコンセプトの通販番組です。ヒロミさんをはじめ、ゲストのSKE48須田亜香里さんやギャル曽根さんのちょっとオーバーで、でも買いたい! と思わせるやりとりが人気です」(番組制作会社スタッフ)

 通販番組といえば、「ほぼ通販専門で出ているようなタレント」「かつて一世を風靡したが、今ではあまり名前を聞かない芸能人」が出演しているイメージがあるが、実は最近、人気芸能人たちが続々と参入している。

「'15年から今も放送されている、お笑いコンビ・麒麟の川島明さんが出演するフジテレビ系の『魔女に言われたい夜~正直過ぎる品定め~』をはじめ、'20年3月には今田耕司さんがMCを務めるテレビ朝日系の『今田耕司★ヒットの世界「東大生が通販してみた!!」』が放送開始。TBS系のクイズ番組『東大王』などに出演する東大生たちや、ノンスタイルの井上裕介さんなど、いわゆるゴールデン帯の番組に出演するようなタレントや芸能人が相次いで起用されています」(テレビ局関係者)

 なぜそんな売れっ子のタレントをキャスティングできるのか。そこには、新型コロナウイルスによる市場の変化が関係しているようだ。

「“外出自粛”“巣ごもり需要”などで、通販会社の売り上げは軒並み好調です。『ジャパネットたかた』のジャパネットホールディングスは前年より売り上げが270億円以上アップ。日テレの運営する『ポシュレ』も、これまでで最高の売り上げと利益を記録するなど、通販の需要が高まっています」(前出・番組制作会社スタッフ)

 市場規模は5500億円を超え、勢いは止まらない。

「10年ほど前に“テレビショッピング番組が多すぎる”との批判があり、各局は通販番組を自主規制して減らしました。しかし民放とBS各局が公表している『番組種別放送時間』によると、'20年の4月から9月の間に放送された番組のうち、BS系は各局30%以上が通販番組。民放でもテレビ東京の11%をはじめ、日テレは7%以上を通販番組が占め、一定のコンテンツとして今なお定着しています」(前出・テレビ局関係者)

 通販番組がここまで成長した理由のひとつに、テレビ局側にとってはローコストですむという利点がある。フリーライターで番組制作にも詳しいラリー遠田さんは、もともとの番組の作られ方に理由があるという。