洗う、切る、ゆでるといった手間なく野菜を食べられる冷凍野菜。コロナで自炊が増えたことで注目されている。一方、食感や味の面で劣るというイメージは根強い。食材、冷凍食品のプロに本当のところを聞いてみた。

冷凍野菜のほうが、栄養は長期間保たれる

 今、人気が高まっている冷凍野菜。今年2月に日本冷凍食品協会が行った調査では、約3割の女性が「1年前より利用頻度が増えた冷凍食品」として、冷凍野菜を挙げた。

 人気の理由は、生鮮野菜の価格高騰、コロナ禍による食材買い出し回数が減らせること、万が一、感染したときの自宅療養対策などがある。

 だが生鮮野菜と比べると、「栄養がない」「まずい」「高くつく」などと否定的な人もいるだろう。

 そこで、パーソナル管理栄養士の三城円さんと、日本冷凍食品協会広報部長の三浦佳子さんに、これらの疑問が「ウソ」か「ホント」かを伺い、冷凍野菜の実力を探った。

「冷凍野菜は収穫して間もないうちに急速凍結されるので、新鮮な野菜に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素が、比較的しっかり残ります。また、冷凍で水分量が減るため、栄養素が凝縮。栄養素によっては、同じ質量なら生鮮より冷凍のほうが、含有量が多いことも」(三城さん)

 生鮮野菜の栄養素は収穫後、時間がたてばたつほど失われていく。

「ほうれん草のビタミンCを例にとると、収穫後3日目の残存率は、常温保存の場合、56%、冷蔵でも78%でした。それに対して、冷凍野菜のほうれん草をマイナス18度で保存した場合、ビタミンCの量が50%になったのは2年9か月後。冷凍野菜のほうが栄養は長期間保たれる、といえるでしょう」(三浦さん)

 生鮮野菜を買っても、すぐに調理しないのであれば、冷凍野菜のほうが栄養豊富ということに。だから「栄養がない」はウソ!

 現在、冷凍野菜の加工技術は、飛躍的に進歩している。

「ほとんどの冷凍野菜は、冷凍前に90~100度の熱湯につけたり、蒸気にあてたりする加工処理がなされています。これは酵素の作用による品質の変化や、凍結による組織の破損を防ぐため。

 また、野菜の水分はマイナス1度から凍り始め、マイナス5度でほぼ凍結しますが、この温度変化に時間がかかると、細胞が壊れやすくなります。その点、冷凍野菜はマイナス30~40度で急速に凍結させるので、組織の損傷も最小限。ですから、上手に解凍すれば、とれたてのおいしさが味わえるのです」(三浦さん)