テレビ局もラジオ局も、オミクロン株をナメていたということですよ。もちろん対策は取っている。しかしそれをあざ笑うかのように感染力が上回ったということです」

 このところ相次ぐ芸能人のコロナウィルス感染について、テレビ局編成関係者は、淡々とそう伝える。

 ナイツの塙宣之、落語家の春風亭昇太、林家たい平、オードリーは春日俊彰に続いて若林正恭、ピコ太郎の古坂大魔王、霜降り明星のふたりにバイキングの小峠英二、KAT-TUN・亀梨和也、俳優のディーン・フジオカ、タレントの小島瑠璃子、そして女優の佐々木希……芸能人の感染のニュースが日常になっている。

マスクをしてニュースを読んだアナウンサーも

 テレビやラジオのスタジオには、アクリル板が設置され、隣の人との安全性を担保する役目を担っている。番組のロケに出るタレントは一様に、マスクを着用しているのに、なぜスタジオ出演者はマスクをしないのか、という疑問が頭をかすめる。

「近くに他人がいなければOK、という暗黙の取り決めがテレビの収録現場にはあります。実際、マスクをして収録しようとしたことはあるのですが、見た目で表情がわからない、それに聞き取りにくい。聞き取りにくさを解消するために大声でしゃべってもらうと、本末転倒になる。よって、マスクなし、が当たり前になっているのです」

 と、マスクなしの背景を情報番組のデスクは明かす。

 昨年、コロナ禍で緊急事態宣言が出た際、テレビ東京が司会者やコメンテーターにマスクを着用させたことがあった。

テレビ東京『WBS』でマスクをつけてニュースを読む大江麻理子アナ
テレビ東京『WBS』でマスクをつけてニュースを読む大江麻理子アナ

「経済番組で大江麻理子アナらがマスクをしてニュースを読んでいました。緊急事態宣言が終わったタイミングで外していましたが、慎重さを求めるならマスクを外さず続けることもできた。なぜ外したかというと、やはり視聴者からの聞き取りにくさの指摘があった、と聞きました。番組として確固たる信念があれば、その後の緊急事態宣言の際にもマスクをするところですが、それをしなかった」(スポーツ紙放送担当記者)

 コロナ禍の収録スタジオは、扉が開け放たれ、フロアーには大きな扇風機が置かれ、テレビ局もラジオ局も極力喚起には気を使っている。しかし決定的な欠点が……。

「ほとんどのスタジオには、窓がない。あってもはめ込み式で開かない。換気に配慮しても、密室に近い環境で芸能人は収録を余儀なくされている。感染者が出ても不思議じゃないわけです。リモート出演を増やしても、スタジオに誰もいないと、番組が成立しません。頭の痛い時期が当面、続くと思いますよ」(前出・スポーツ紙記者)

 もはや誰がかかっても不思議ではないオミクロン株の猛威。スタジオ収録だけでなく、ドラマの撮影現場、映画のロケ現場の関係者もひやひや状態で「運を天に任せるしかない」(制作スタッフ)という。

 非科学的なそんな祈りも笑えないほど、事態は深刻の一途だ。

〈取材・文/薮入うらら〉