コロナ禍になって約2年。いまだに社会的な混乱が続く中、新たな問題が発生している。それは消費者の負担の増加だ。2021年からガソリン料金や電気・ガスなど公共料金が相次いで値上げされ、食料品の値上げも目立つ。2022年は「値上げの1年」になると予想されている。

 欧米諸国では、コロナ禍の救済策として消費税減税や手厚い給付金支給などを実施した。日本でも税金の負担を少しでも軽くしてくれたら……。しかし経済ジャーナリストの荻原博子さんは、はっきりとした口調でこう言う。

「コロナ禍で一般家庭の下支え策は、一律10万円の特別定額給付金の支給のみ。あきれますよ。今の日本に減税なんて期待できるわけがない」

 それどころか、2022年4月からは年金額が0・4%引き下げられる。

「しかも、この不況の中でも年金額は杓子定規に下げてくる。怒りしかないですよね」(荻原さん、以下同)

アベノマスクにCOCOA…多額の税金が活かされず

 そもそも国が使えるお金はいくらなのだろうか。財務省の報告によると、今年度の国の一般会計歳出額は約107兆円。これに約36兆円の補正予算を上乗せして、合計約143兆円が国のお財布に入っている。100兆という金額に比べると、数億円の支出の大きさがかすみそうだが……。

概算ですが、約143兆円を人口(約1億2560万人)で割ると、1人当たり約114万円。4人家族だと約456万円も払っている計算になります。だからこそ政府には、きちんとやり繰りしてもらわないと困る!」

 では本題の「税金のムダ使いはどれくらいか」に入っていこう。手始めはコロナ関連の支出から。

「まず2020年に配布された『アベノマスク』。マスク調達費は約184億円、配送費などで、なんと約76億円が使用されています」

 さらに余った8000枚の保管費に10億円以上、2022年2月には余ったマスクを無料配布する送料にまた10億円がかかると報じられた。わかっているだけで合計280億円以上の税金が費やされている。

「次に、コロナ感染者との接触を管理するスマホアプリ『COCOA(ココア)』。約3億9000万円を投じて開発されましたが、バグだらけで問題視されましたよね。国民の使用率も低いし、今や誰も使っていないんじゃない!?」

 スマホアプリ関連では、2021年夏のオリンピックに向けて開発されたコロナアプリもムダ使いの懸念がある。当初は海外客の健康状態管理を目的に73億円を投じると発表されたが、結局「日本への入国者向けのシステム」に変更され、費用も38億円に。それでもCOCOAより大きい資金が投入されていることに違和感を覚える。

 法人や個人事業主に対して2020年5月から実施した『持続化給付金事業』も、事業運営側で多くの中抜きが指摘された。中抜きとは、業務を請け負った企業が一定の利益を控除したのち、別の組織に再発注する行為。

「総額669億円が投じられましたが、最大で9次下請けまで入っていました。みんなで甘い汁を吸っていたとしか思えない」

マイナンバーカード、マイナポイントは本当に必要だったのか

マイナンバーカードのCMに出演している面々(総務省HPより)

 

 荻原さんが問題視しているのは、国が積極的に推進しているマイナンバーカードだ。

「マイナンバー制度はすでに過去9年間で8800億円もの資金が投入されています。そもそも『カード化』する必要があったのか? 番号だけ配布すれば用は足りたはず」

 2021年11月には1・8兆円を投入して、マイナンバーカードの新規取得者にポイントを付与するマイナポイント事業を展開したが、2022年1月時点のカード普及率は41・0%。

「多額のバラまきが、ほとんど功を奏していません。健康保険証としての利用も開始されましたが、対応している医療施設はまだ1〜2割。便利に使えるとはいえない状況」