隠れゴミ屋敷化しやすい職種とは

 隠れゴミ屋敷は、言ってしまえば極度のセルフ・ネグレクト。何かをきっかけに、しだいに自分のケアができない状況に陥り、悪循環から抜け出せない状態だ。

 普通に生活をしていれば、家の中にゴミをため込むはずはないと思うかもしれない。忙しいのは言い訳だ、だらしないだけだ、という自己責任論も根強い。だが、石田さんは決してそうではないと言う。

「ほとんどの人がしっかりした職につき、頑張っている普通の人です。優しくて、まじめな人が多いんですよ。

 ただ、そういう性格なだけに、仕事が終わらないから休めない、ピンチヒッターを断れなくて15日間連続勤務……など、私生活が後回しになってしまう。その結果、どんどん部屋が荒れていくんです」

 看護師や介護士など夜勤のあるエッセンシャルワーカーや、長距離トラックの運転手、新聞記者など。昼夜問わず働き詰めな職種の依頼者が多い。そして、そうした人の多くは早朝のゴミ出しが難しいライフスタイルを送っている。

「夜間に仕事をしている人やWワークをしている人は、そもそもゴミを出せる時間に家にいない。前の日の夜に出せば怒られ、迷惑をかける。長時間労働で疲れきって自炊もできないから、コンビニ弁当やカップラーメンですませる。

 そのゴミが3食ずつたまっていけば、あっという間にキッチンを占領し、部屋を侵食してしまう。たまるゴミを踏み固めながらその上で暮らし続けている人も」

40代女性、看護師。1LDKでひとり暮らし。片付けにかかった時間は2日、作業人数8人 写真/「ゴミ屋敷専門パートナーズ」YouTubeチャンネルより
40代女性、看護師。1LDKでひとり暮らし。片付けにかかった時間は2日、作業人数8人 写真/「ゴミ屋敷専門パートナーズ」YouTubeチャンネルより
【写真】え?そこで寝るの? ゴミ屋敷になってしまった人の驚愕の寝床

大量のゴミを分別しながらの作業

 程度の差こそあれ、部屋がゴミで埋まっているのが普通で、背の丈にまで“山”が達していることもあるという。

「ゴミが増えて台所が使えなくなり、置き場所がなくなって風呂にもトイレにも押し入れにもゴミがぎゅうぎゅう。なんとか分け入って、目の前のものから分別しながらゴミ袋に入れ、場所を確保していきます」

 分別して捨てるのは依頼者のゴミの処理費を安くするため。また、「お客様が大切にしていて、残してほしいというものは捜して残してあげたい。よい再スタートをきるためにも、そこは大切にしています」

 費用は、ゴミの量とかかった日数、人件費によるが、ワンルームで15万~30万円。1日、2日の作業が多いという。

 隠れゴミ屋敷の実態がどれほどのものか、実際に石田さんが片付けた例を紹介しよう。

背の高さまで積み上がったゴミの山。踏みつぶされて圧縮しているので、見た目以上の物量に。依頼者は、点線で囲まれた凹んだ場所に寝ていたという 写真/「ゴミ屋敷専門パートナーズ」YouTubeチャンネルより
背の高さまで積み上がったゴミの山。踏みつぶされて圧縮しているので、見た目以上の物量に。依頼者は、点線で囲まれた凹んだ場所に寝ていたという 写真/「ゴミ屋敷専門パートナーズ」YouTubeチャンネルより