木村拓哉
映画『武士の一分』で共演した木村拓哉も葬儀に参列

 2月21日、すい臓がんのため59歳の若さで亡くなった坂東三津五郎さん。女性に対してもスマートだった三津五郎さんは、そのせいで困った状況になったこともあるという。

「紳士だから、誤解されちゃうんですよ。話すといつもさわやかな笑顔で丁寧に対応をするので、それで女性のほうが“私に気があるのかしら?”と、勘違いしちゃうんです」

 木村拓哉が主演した『武士の一分』のロケでは、地元のスナックにお忍びで出かけた。

「静岡県島田市まで呼ばれて行きました。地方だと“三津五郎さんだ!” なんてわからないわけで、笹野高史さんたちもいっしょに飲みに行ったら店の人に“撮影でいらしてるんですか?”と聞かれて“そうなんです、裏方なんですよー”と答えていました。店のママも“キムタクが来ているらしいじゃないですか?”と話すと、“そうなんですよー”と笑顔で返していました。三津五郎さんは、私も出演しているとか、実は歌舞伎役者だなんて言いませんでしたね。でも“どっかで見たことありますけどねー”とは言われていましたけど(笑い)。周りに気遣いをする、本当に温かい人でした」

 三津五郎さんの人柄は、ご近所の人にも知られていた。

「毎年秋に開催している『青山まつり』に、多額の協賛金を寄付していただいていました。地元のことを考えてくれている素晴らしい人だな、という印象です」(近所の住人)

 東京・青山にある自宅近くの『岡本精肉店』は、毎年年末にローストビーフ用の牛肉を届けており、昨年も4キロのランプ肉の注文があった。

「12月30日にお届けにあがりました。15年くらい前から毎年、買ってくださるんです。100グラム850円ほどのお肉ですから、だいたい3万4000円分ですね。三津五郎さんご本人が玄関まで出て来てくださって、最後に“ごくろうさん”というお声をいただきました」

 とにかく、食べ物と酒をこよなく愛した人だった。

「昔は本当に飲んべえで、二日酔いで舞台に上がることもありました(笑い)。京都では“昼の部、夜の部、第三部が必ずある”と言われていましたよ。パワフルで昔ながらの粋な役者さんでした。2月7~8日には家元を務める坂東流の名取試験に立ち会い、最後まで舞台に立ち続けました」(歌舞伎関係者)