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 11月10日は、昨年亡くなった高倉健さんの命日。一周忌に際して各地で記念行事が開催されていた。NHKBSプレミアムなどでも“高倉健特集”が組まれ、健さんの主演作品を一挙に放送したり、連日上映している映画館も。

 健さんとゆかりが深い北九州市では、11月15日、『健さんに逢いたくて2015in北九州』と銘打ったメモリアルイベントが開催され、健さんと共演した富司純子らのトークショーや主演作品の上映会も行われた。

 ヒット作品のロケ地であった北海道では、夕張市にある'77年公開の『幸福の黄色いハンカチ』のロケ現場を再現した観光施設『幸福の黄色いハンカチ想い出広場』に献花台が。

 '81年公開の『駅 STATION』に登場した増毛町の『風待食堂』(現・増毛町駅前観光案内所)には記帳台が設けられた。

 そして、'99年公開の『鉄道員』のロケ地であった南富良野町のJR幾寅駅にも献花台が設けられたほかに、健さんにあててメッセージを書いてもらおうと、付箋が用意され、訪れたファンはそれぞれの思いを書いて、駅舎の窓ガラスに貼っていた。

「中には中国語や韓国語で書かれたものもあり、健さんの人気は日本国内だけじゃなかったことを物語っています」(映画雑誌編集者)

 亡くなって1年たっても、健さんの人気は衰えない。一般の人たちだけでなく、芸能界はもちろん、スポーツ界、政財界など、幅広く愛されていた健さんだったが、実は文学界にも健さんの作品を愛してやまない熱狂的なファンがいる。

「村上さんは若いころから健さんの大ファンで、ストレスがたまると健さんの映画を見に行ってスッキリしていたといいます。それも“任侠映画”ばかり」(映画ライター)

 作家の村上春樹が映画好きだということは、ファンの間ではよく知られていることだが、健さんの大ファンでもあることを知る人は少ない。ウェブサイトで健さんの映画についてこう綴っている。

《学生時代に歌舞伎町で東映作品を見あさっていて、その中でも『昭和残侠伝』シリーズが最高だった》

 『昭和残侠伝』シリーズは、『網走番外地』シリーズ、『日本侠客伝』シリーズと並ぶ健さんの代表的作品である。

「村上さんは健さんの映画を見るために、池袋の映画館にもたびたび足を運び、オールナイトで見るときもありました」(前出・映画ライター)

 それだけではない。村上は頻繁に滞在する海外にも、健さんの映画のDVDや、劇中の台詞が入ったサウンドトラック盤のCDを持っていくほど心酔しており、またビデオテープやDVDも収集。

「東映に電話をかけては“あの映画はまだDVDにならないの? いつなるの”などとよく問い合わせていたと聞きました。自宅には健さんの任侠映画はほとんどそろっているようです」(映画関係者)

 そして『昭和残侠伝』の中で村上がいちばん好きなシーンというのが、雪が降る中、健さんがひとりで殴り込みに向かうときに、横から兄弟分を演じた池部良さんが出てきてそっと番傘をさしかけるシーン。バックには健さんの歌う主題歌が流れる。

「映画の中で健さんが話す台詞の中で、村上さんがいちばん気に入っているのは“死んでもらいます”だそうです」(前出・映画ライター)