ドラマを見た友人はみんな……

 では、ご自身の友情は?

「私、けっこう友達作りが上手かも。学生時代の友達も、この仕事を始めてからの友達もいます。でも『べっぴんさん』を見て連絡をくれた友達はみんな“栄輔カッコいい!”“栄輔は明美さんとくっつくの?”って、感想はそこばかりでした(笑)」

脚本家・渡辺千穂さん
脚本家・渡辺千穂さん
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 2年半前に結婚され、昨年は出産も経験された渡辺さん。ママになってから初めてのドラマが今作だった。

ママ友とか、子どもを通しての知り合いも増えましたね。0歳児から一緒に過ごしているお友達とは、この先もずっと仲よしでいてくれるといいなあって。それは母の思いですね。

 あっという間に1歳になり、今は元気すぎるくらい元気なんですけど、10か月くらいまでは、本当に手のかからない育てやすい子で恵まれていました。それでも、もちろん、生まれてみたら大変なんですけど。もう、いないことが考えられないんです。だから、やるしかないし、育てるしかない、全力で。みたいな感じですね。

 子育ても仕事も両方できて、なおかつ楽しいと思えるのは、周りにいろいろ助けてもらっているからですね。主人(フリーアナウンサーの羽鳥慎一さん)も、いろいろやってくれたりするし。実家が近くて、両親が見てくれるのも助かっています」

 ドラマのナレーション(語り)には、人生や家族についての珠玉の言葉があふれている。ヒロインの母親を演じ、ナレーションも担当している菅野美穂については、

「台本の本読みのときに顔を合わせて、“ああ、菅野さんでよかった”って。ナレーションは、その日のテーマをわかりやすく、(ヒロインの母)はなさん目線で語っているんですね。はなさんの言葉が生きているとしたら、それは私が、はなさん目線だからかもしれません。そういう言葉を菅野さんに託せるので、100%よかったって思いました

 以前、“人は所を得る”ということを書きたい、と語っていた。その思いを果たすことはできたのでしょうか。

「ドラマの後半で、すみれたちの第二の人生を描いていくんですけど。やっぱり人生そのものが、自分の居場所を見つけるものだと思っていて。過去の言動、自分の考え方、感じ方、何かを選択した結果が今であると。

 自分の居場所は、自分が作っているということを、表現したいなと思って。最終回まで見ていただくと、長い物語ですが、わかるようになっていると思うんです」

 はなの語りにも「ひとつひとつ正しいと思うことを、そのときそのとき、選択するしかない」とある。

そうだと思います。自分の人生(居場所)は、やっぱり他人が決めるものじゃない、自分で決めること。流されたら、流される人生になりますから。決めた後の方法はそれぞれだと思います。例えば、欲しいと思ったものをつかみにいく人もいれば、そうじゃない人もいる」

 つかむ人ですか?

「私ですか? つかみにいくというよりは、欲しいと思ったものは、あきらめることはしないかもしれないですね」