立命館アジア太平洋大学Facebookより
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「情報が入ると行動も判断できます。するとパニック状態にならず、心も安定します。やさしい日本語で状況がわかった外国人が、今度はほかの外国人や旅行者にアドバイスもできるようになるんです。さらにやさしい日本語は高齢者や子ども、障がい者など、誰でも理解がしやすい」(前出・佐藤教授)

外国人を防災リーダーに

 万能に思えるやさしい日本語だが、注意点もある。

「あくまでも災害発生72時間の緊急的に使う危機管理のための言葉です。生活再建や困りごとなどの相談は外国人が使う言語できちんと説明をしたほうがいい」(佐藤教授)

 災害発生後、しばらくすると専門のスタッフが外国人の支援を行う、災害多言語支援センターなどが各自治体に立ち上がる。一般財団法人『自治体国際化協会』の佐藤雄一郎課長は、

「災害時多言語支援センターでは語学に堪能なスタッフが外国人の相談を聞き取り、しかるべき機関につなげるなどの取り組みを行います」

 さらに同協会では避難所での炊き出しや入浴など情報を多言語で伝えるツールを提案。『多言語表示シート』だ。

「避難所などで使用できる文章を12言語で表示しています。文字を読まなくてもわかるようにピクトグラムでも表示できるものも作っています」(佐藤課長)

 さらに、外国人を災害から守るための取り組みに力を入れる自治体も増えている。

 福岡県では「日本の災害がわからない外国人のために、7か国語で防災ハンドブックを作っています」(防災担当者)

「一昨年からリーダーを育てる取り組みを行っています」と静岡県浜松市は在留外国人の防災リーダーに期待する。

「ポルトガル語、中国語、スペイン語、インドネシア語、タガログ語、ベトナム語、英語をしゃべる7人の外国人をリーダーにし多言語支援などで防災に携わってもらいます」

(浜松国際交流協会担当者)

 南海トラフの震源地に近いとみられる静岡県も、

「災害時にはFacebookなどを利用した情報提供が特に有効と考えています」(多文化共生課担当者)

 前出の立命館アジア太平洋大学やアイシャさんらもSNSを利用して情報の取得をしていた。

 さらに、外国人は支援を受けるだけではない。前出・浜松国際交流協会担当者は、

「外国人は一方的な弱者ではありません。若く体力のある人も多く、情報不足や言葉のカベはありますが、助ける側に回れる可能性があるのです」

 と共助の担い手として期待をこめる。

 2020年、東京オリンピック・パラリンピックに向け外国人観光客はますます増加する。災害時、外国人のためできることがある。一緒に生き残る術を考えたい。