臓器移植が必要なくなるの?

「例えば、心臓の組織である心筋細胞をシート状にしたものを作り出し、心臓に移植することで心臓の活動を補うものができるようになるかもしれない。皮膚を作成し、やけどをした部位に移植することも。これらは自身の細胞であるため、拒絶反応も起きにくいわけです。将来的に臓器移植の必要がなくなることも十分ありえます」(竹田特任教授)

 これらを可能とする胎児の幹細胞の特性は’00年ごろに出産した母親の体内から“発見”された。

 その“発見”とは、

出産経験のある女性が病気のために摘出した臓器を検査すると、男性の細胞が発見されることがあるのです。これは、胎盤を通じて胎児の血液が母親の身体を巡り、その血液に含まれる幹細胞が変化増殖して母親の臓器の一部を構成していたのです。男性の細胞が発見されたのは、女性が男の子を出産していたため。これによって、さい帯血に含まれる幹細胞から、皮膚や臓器の一部が作れる可能性が明らかになったのです」(竹田特任教授)

 男性よりも女性のほうが長生きなのはこれが理由かも?

美容に効果があるって本当?

「さい帯血の移植によるがんの治療や美容への有効性は現段階でいえば研究段階であるため明らかになっていないというのが正確な表現ですね」(厚生労働省の担当者)

 これに対し竹田特任教授は、「さい帯血移植が悪いというわけではなく、効果があるのかわからないものを医療として認めることはできないということです。害を及ぼす可能性だって十分にあるわけですから」と話し、むやみな利用に警鐘を鳴らす。

「プラセンタは胎盤ですが、あれは女性ホルモンが入っています。アンチエイジングに効果があることはわかっているけれども、逆に血栓ができやすくなったりするわけです。高濃度で使用した場合には、重篤な副作用を起こすこともある。効果のあるものは必ず副作用があるわけですから、しっかりとした規制のもとで使用するべきですよね」(竹田特任教授)

 金儲けに走り有効性や安全性がなんら確認されていない危険な治療を患者に提供していた容疑者たちの倫理観が問われることになる。