現在は、仕事一辺倒にならないよう、夫との家庭生活をベースにマイペースに過ごしている丸岡さん。

「いま思い返すと、昔は高速道路を爆走しているような仕事中心の生活でした。今はプライベートな時間が持てるようになり、バランスがとれて、自分らしく生きられていると思います」

『休むことも生きること』丸岡いずみ=著(税込み1188円/幻冬舎)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
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 もう薬は飲んでいないが、うつ病が再発しないよう、自分が好きなことをする時間を多くもつことも大切だ。

「幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが不足すると、うつ病にかかりやすくなることがわかっています。自分が楽しいと思える趣味をたくさん持っているほうが、うつ病からの回復が早いともいわれています。私は温泉や土いじりが大好きなので、こういった趣味に没頭する時間を大切にして、セロトニンを分泌することを意識しています」

 うつ病経験を話す機会が増えるうちに、体験談だけではなく、医学的根拠に基づいた説得力のある話をしたいと思い、執筆したという今回の本。うつ病予防のためにも多くの人に読んでもらいたい一冊だ。

ライターは見た! 著者の素顔

 本が大好きだという丸岡さんですが、ふだんはどういう本を読んでいるのでしょうか?

「昔は仕事で役立つ実用書ばかり読んでいましたが、今はただただ楽しめる本を読むのが幸せです。最近のおすすめは『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一・ 菊池良=著・宝島社)。村上春樹、太宰治、三島由紀夫、夏目漱石、星野源、小沢健二など100人の文体を模倣して、カップ焼きそばの作り方が書かれており、かなり笑えます」

<プロフィール>
まるおか・いずみ◎1971年、徳島県生まれ。元日本テレビ記者兼キャスター。2011年の東日本大震災の取材後、重度のうつ病を発症。回復後、2014年にメンタルヘルスカウンセラーの資格を取得。うつ病に関する講演も行う。著書に『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』など。今年1月、代理母による出産で長男が誕生。

(取材・文/紀和静)