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ー 未婚女性3人組の欠かせない名場面
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ー 励まされた視聴者

 11年ぶりに放送され、視聴者から熱い支持を得た『続・続・最後から二番目の恋』がついに最終回を迎えた(※ネタバレ注意)。

 千明(小泉今日子)はテレビ局を定年退職してドラマ制作会社を興し、和平(中井貴一)は鎌倉市副市長に就任。最後まで登場人物たちの名言や、長倉家の絆に感動させられた本作だったが、小泉今日子・森口博子・渡辺真起子の3人によるコミカルな女子会シーンも、毎回尺は短いけど、このドラマには欠かせない名場面だった。

未婚女性3人組の欠かせない名場面

森口博子
森口博子

 千明、啓子(森口博子)、祥子(渡辺真起子)は若い頃から気が合う未婚女性3人組。千明はテレビ、啓子は出版、祥子は音楽と近い業界で働いていることもあり、ちょくちょくお洒落な店で女子会をしては、仕事や恋の愚痴を言い合ってきた。

 第1シリーズ時点での3人は45歳。互いに独身だし、3人で鎌倉の古民家でも買って一緒に暮らそうと盛り上がるが、いざとなると啓子と祥子は恋人や仕事を理由に断り、千明だけが移り住んだのがこのドラマの発端だった。

 この時点から「若い頃、45くらいの先輩って嫌だったもんね」「死ねババアとか言われてるんだろうね」と自分たちを客観視していた3人。だけど「45にもなったら、据え膳食わぬは女の恥よ」といった赤裸々な会話は勢いがあって小気味がよかった。

 48歳になった第2シリーズでは管理職になり、「はんこばっか押してるうちに定年が来るよ」と悪態をつき、新橋のオッサンたちと飲んだくれるシーンもあった。そして穏やかに年を重ねた老夫婦を見て「そっち側に行こうと思えばいつでも行ける自信があったんだけどさ。なんか最近、もう行きたくても行けない世界になってしまったのかなあ、みたいな」「でもさ、その分こういう生き方してたから手に入れたものもあるわけでさ」と、諦めと悟りの境地に達していた。

 そして59歳になった今回。

「あたしたちの業界、マジでやばくない?」と、コミック&アニメ頼みになっている三業界の衰退を愁うことからスタート。「こういう関係は続けようね。こういうのがないと私生きていけない」と友情を確認し合う。

 しかし5話では、3人の先輩であるみか(香坂みゆき)が登場。定年前に出版社を辞め、制作会社を興したみかは、千明を仕事に誘い喜ばせるが、どうやらそれはお金を投資させるための詐欺まがいの話だったことが判明する。

 8話では啓子が、定年と同時に退職することを告白。「頑張って会社に残ったところで居場所がないんだよね。これがこう、悲しいくらいに間違ってなくて」と無理して明るく話すが、「ま、何が言いたいのかと言いますと、…友達でいてね」と泣き出してしまうシーンは、森口博子ってこんなに芝居がうまかったのかと思わせるほど真に迫っていた。

 祥子は10話で、自分を外した仕事のメッセージグループが存在し、そこに送ったつもりで、若手が祥子のことを「老害」呼ばわりしたメッセージが“誤爆”で届いてしまう。「明日から仕事行きたくない」と落ち込む祥子の姿は痛々しかった。

 こうした彼女たちのエピソードに共感した視聴者は多かったのではないか。バブルを20代半ばで体験し、中でもイケてる業界にいた3人は仕事が面白く、経済力もあったから、結婚の必要性も感じずに、気づいたらこの年齢になっていた。