励まされた視聴者
筆者(50代・男性)は彼女たちより5歳ほど下で性別も異なり、20代からフリーランスだが、思い当たる節は山ほどある。短期的にどこかの職場に入って仕事をする機会があると、流れに乗れず隅の方にいたり、若手に必要以上に気を遣っているベテラン社員を見かけ、会社で生きていくって難しそうだなと感じる。自分の加齢と業界の衰退が重なった閉塞感はフリーランスも同様で、「昔、石炭産業に従事していた人はこんな気持ちだったのか」とすら思ってしまう。会社に所属していない分、足場はもっと脆弱で、筆者もため息をついてばかりだ。
確かに年齢が原因で、新しいシステムなどについていくのが大変な部分もあるけど、自虐で言うほど本当は衰えてもおらず、仕事のスキルは上がり続けて、総合的に見れば今が最高だという自覚もある。それでも弾かれていってしまう。これはきっと先人たちも経験してきたことで、今ベテランを弾いている若手も遠くない未来に経験することなのだろう。今はただ自分たちの番がきただけなのだ。常に年齢相応の壁と闘ってきた千明・啓子・祥子3人のシーンに励まされた視聴者は多いに違いない。
実を言うと筆者は、今回のシーズン3(続・続・)は、ちょっといい話になりすぎてしまった気もしていた。和平をはじめ、登場人物みんなが名言を連発し過ぎて、感動過多な印象を受けたのだ。
1・2では千明と和平がそれぞれ、女と男の言い分を言い合っていた。女性の言い分も理解できるけど、我々男は普段言われっ放しなので、「和平頑張れ、よく言った!」とも思い、自分ならどう言い返すかと、脳が刺激を受けていた。
3ではそれが減ってしまい、それは千明と和平が互いを認め合うようになったからなのだが、少し物足りなく感じていた。そんな中でも、女子3人のシーンは変わらず刺激的で楽しかった。最終回では千明がふたりに「うちに住まわせてあげてもよくってよ」と話す場面もあり、そうなったらまた楽しそうだ。千明と和平の関係だけでなく、定年を迎え、ちょっと苦境に立たされている彼女たちの将来を見守るためにも、ぜひ「続・続・続・」の放送を期待したいと、最終回を観て思った。
最後に蛇足になるが、ずっと気になっていたことを一つだけ。和平が中学生の時にエロ本を見つかって、「母親に7時間詰められた号泣事件」というのがあり、最後は母親の周りできょうだい全員が号泣した、という話が笑いと感動のエピソードとして何回か劇中で出てきたのだが……。
和平が3のスタート時点で63歳で、双子の万理子(内田有紀)と真平(坂口憲二)は48歳と、両者には15歳の開きがある。号泣事件が1977年のことだというので、和平が中3だとしても、まだ万理子と真平は生まれていないか0歳で、兄弟が母親の周りに集まって号泣するという図にはならないのではないか。2人が成長した後にその事件を聞かされたとしても、万理子が見てきたように囃し立て、真平が「あったね~」と懐かしそうに言うのは、ちょっと反応が違う気がするのだが、どうだろう?
もし私の見方が間違っているなら、どなたかご教示いただければ幸いである。こんな細かすぎるツッコミをしたのも、熱烈な『二番目』ファンゆえなので、どうかご容赦のほど。