そもそも、なぜ結婚したら姓を変えなければいけないのか? その疑問が頭から離れず、夫婦別姓の動きをチェックしてきた。

「法制審議会が夫婦別姓の導入に向けた答申を出したのが'96年。雑誌で別姓特集号が出されるほどの注目度でした。なので、すぐ通るだろうと思っていたら、25年近くたってしまった」

婚外子を避けるため産前入籍、産後離婚

 と大竹さんは話す。'01年に結婚式を挙げた夫は、小学生のころからよく知る仲。お互いに「フルネームでひとつの個人」と認識している。姓を変えたくないと話し、事実婚を切り出すと、夫はすぐに同意。義父母も「2人がいいなら」と賛成してくれたが、大竹さんの両親は「法的な保護がない」と心配していた。

 専門職としてフルタイムで働くなか、普通に生活している分には支障はない。しかし両親が心配したように、いざというとき、「事実婚では、夫婦間や子どもについての法的な権利、保護が及ばないことが多々あります」(大竹さん)

今回は夫婦別姓を認めない民法、戸籍法の違憲性を問う、と打越弁護士

 例えば、相続。事実婚では法定相続人として扱われない。前出・打越弁護士は「遺言書を作っていたとしても税率が高くなります。生命保険の受取人は断られるケースも。母子別姓となれば、子ども名義の銀行口座の開設、パスポートの申請が困難な場合もある。家族が倒れて救急搬送されたとしても、事実婚では治療の同意書にサインができません」と指摘する。

 別姓を選べないことの不利益はまだある。大竹さんによれば、看護師などの各種免許は戸籍名での登録となるため、もし改姓しても、多くの職場で旧姓を通称として使用できないという。

 一方、'15年の最高裁大法廷では「通称使用の広がりで不利益が緩和される」と述べており、また政府も、銀行口座を旧姓でも作れるよう金融機関に働きかけるなど力を入れているが、

「女性が戸籍名と通称を使い分けなければならない負担は、通称拡大では解消されません」(打越弁護士)

 大竹さんには現在、小学6年生と高校1年生の息子がいる。結婚した翌年に長男が生まれ、4年後には次男、三男が誕生。だが事実婚では婚外子となるため、出産する直前に婚姻届けを提出、産んだあとに離婚届を出す「ペーパー離婚」をした。息子はどちらも夫の姓である山村(仮名)を名乗り、家族の中で、大竹さんだけ名字が異なる。生活に支障はないのだろうか?

「子どもたちには生まれたときから、これが普通。親の名前はフルネームで教えていたので、なぜお母さんだけ名字が違うの? と言われたことはありません。担任の先生にも説明してオープンにしていますが、露骨に何か言ってくる人はいませんね。基本的に“山村くんの母”として接しているから特に意識しないのでは?」(大竹さん、以下同)

 夫婦別姓の反対意見には「子どもがかわいそう」「家族の絆や一体感を損なう」などの声が頻繁に上がる。

いじめを心配しているのかもしれませんが、他人との違いをあげて排除することは、ほかの事柄でも起こりえます。また、自分だけ名字が違うからと、家族に疎外感を抱いたこともありません。同じ名字だから一体感を得られるという人は夫婦同姓を選ぶことができます。みんな別姓に、と言っているのではなく、その選択肢がほしいのです」

 時代に沿う判断が必要だ。

大竹さんらの裁判に関して情報発信を行う「夫婦別姓訴訟を支える会」https://www.facebook.com/別姓訴訟を支える会-2003101623279191/
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