今はつぶやくのを控えているという息子さんと、映画のような「魔法が使えたら」なんて会話をする機会があるのかを聞くと、

佐藤二朗 撮影/北村史成
佐藤二朗 撮影/北村史成
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「……ないですね。申し訳ない。でも、きっと息子が望むのは、お父さんとお母さんが怒らない魔法でしょうね。この間、ツイッターにも書いたんですけど、息子が《こんご、おかあさんは、ぼくのやることにはいっさいおこらない。おとうさんのやることには、ぜんぶおこる》。という謎のルールを作って。なんで、そんなこと急に言い出したのか、まったく理由がわからない。

 自分なら、そうですね。息子には“お父さんの堪忍袋は3つしかないんで、3回目に言うこと聞かなかったら怒るよ”って言っているんですけど、ごまかすんですよ。3回目だってわかっているのに、“まだ、2回目だよ~”って。3回目でちゃんと息子が言うこと聞く魔法が欲しい。あと、二日酔いにならない魔法もいいなと思ったけど、それだと際限なく飲んじゃうね。それはいかんね」

佐藤二朗が求められる理由

 この取材のとき、佐藤は初のミュージカル『シティ・オブ・エンジェルズ』に挑戦していた。さらに10月からは、特番からゴールデンのレギュラー番組へと進出した、フジテレビ系のクイズ番組『99人の壁』のMCも務める。引っぱりだこの今をどう感じているのか?

「う~ん、僕らは人から請われているときが花だと思うので。なんでオレにクイズ番組のMC? とか、ミュージカル? って思うけども、請われている以上、非常にありがたいし、新しいこともやってみようかなと」

 なぜ、これほどまでに世の中から求められているのか自己分析をお願いすると、

あまり深く考えないです。でもまぁ、すごい人って“ああ、この人に比べたら私はこうで……”とか劣等感を抱かせるけど、たぶん僕は人に劣等感を感じさせないんじゃないですかね。そのへんに親しみが湧くのかな。ただ、お芝居ほどプロがアマに負ける世界ってないんですよ。ゴルフも野球も、スポーツだと絶対にアマチュアはプロに勝てないでしょ。芝居くらいですよ、30年のベテランでも、ワンシーンで子どもとか動物に食われるって言われるのは。だから、面白いっていうのもあるけど。

 あえて言わせてもらえば、アマチュアでは絶対に届かないような、松尾スズキさんはこれを“彼岸”と言ったんだけど、向こう側にいたいとは思いますけどね。普段はただの精神年齢8歳の赤ちょうちん好きのおやじなんだけど、芝居に対してだけは特別でありたい。今作でケイト・ブランシェットさんが演じたエリート魔女の吹き替えをやっている宮沢りえさんも言ってたけど、芝居に対してだけは、誠実に、真摯でありたいですね

吹き替えを終えて

「同業者なので、ジャック・ブラックさんがこういうつもりでお芝居をしているんだろうなとか、こういうところが芝居の肝だなとわかったりする。そこをちゃんと日本のみなさんに伝えたいと思ってやりました。わかるからこそ、プレッシャーでもありましたけど。実は、まだ完成した作品を見ていないんです。息子と見に行くのを非常に楽しみにしています」

<作品情報>
『ルイスと不思議の時計』
10月12日(金)全国ロードショー
配給:東宝東和