すえこさんは約10年間、NPO法人『セカンドチャンス!』の一員として、少年院出院者の支援を続けている。自分の更生体験を話すほか、出院者同士の交流会を定期的に開き、居場所作りをしている団体だ。

 どう社会に溶け込んでいけばいいのか。すえこさん自身も、かつて悩んでいただけに、出院後を不安に思う少女たちの気持ちがわかる。

東北少年院にて。後方で職員らが見守る中、講演会が行われた 撮影/齋藤周造
すべての写真を見る

説得力のある言葉

 友達に関する質問に、すえこさんは丁寧に答えていく。

「新しい友達はどうやって作ればいいですか?」

「私はずっと過去を隠して生きてきたから、なかなか信じられる友達はできなかったな。それが偽りの自分のようで嫌だったこともあるし、今はオープンにしてます。今も『内省の時間』ってある? 私のときは正座で内省してた。今はベッドの上で、“相手に怒りや感情をぶつけてしまった”とか、今日あったことを振り返って考えるのね。そうやって自分が変わると、自然といい友達が集まってくるというのは最近、感じる

「理解してくれる人って、どういう人ですか?」

私が少年院出院者だ、元暴走族総長だって聞いても、付き合ってくれる人。過去も全部ひっくるめて、中村すえこと付き合ってくれる人が、理解してくれる人だと思う。割合は少ないけど、理解してくれる人は絶対にいるから。

 セカンドチャンスって、何度でもやり直せるという意味なの。失敗しても、もう1度前を向いて、進んでいってもらいたいと思います」

 すえこさんのような少年院出院者が来て話をしてくれることを、青葉女子学園の小國万里子園長は「すごくありがたい」と強調する。

「私たちがいくら出院後のことを言ってもあまり響かないけど、すえこさんが言うと説得力があるし、ここを出てからの将来像も、より現実的に見えてくると思います」

 特に女子の場合、少年院に入ってくる数は年々減っているが、対応が難しい子どもが目立つようになったという。

「親に虐待を受けている子が増えています。最近うちに入ってきた子をみると、逆に虐待を受けていない子のほうが珍しいくらいです」

 これまでの小國さんの経験では、親から暴力を受けて育ち、他人を傷つけることを「当たり前じゃん」と言い放つ子。性的虐待をされて「自分の身体は汚い」と感じ援助交際をしていた子。育児放棄され、少年院で初めてご飯を3食たべたという子もいたという。

 虐待をされた子どもには共通する傾向があると説明する。

「愛着障がいを起こしやすく感情のコントロールがなかなかできなくて、他人との関係をつくるのが難しい。自傷や摂食障がいという形で出てくる子もいます。精神的なケアもしていますが、大変なのは出院後に帰る場所がなかなか見つからないことですね」

 虐待をしていた親のもとには帰せない。まず更生保護施設に打診するが、空きがなかったり、難しいケースということで断られることもある。全国にある自立援助ホームに職員が電話をかけたり、保護観察所の協力を得たりして、受け入れ先を懸命に探す。

 出院者からも頻繁に電話がかかってくる。近況報告や悩みを聞いてもらいたいだけの子もいるが、泣きながらかけてきたり、深刻な相談をする子もいる。働いて得たお金を親に搾取されると訴える子は支援組織につないだ。