申請しないと支援は得られない!

 家賃の支払いが困難になったときの救済制度が、『住居確保給付金』。

「家賃相当額を原則3か月、最長9か月を自治体から家主に支給されます。これを利用すれば家賃滞納に陥ることを防げます」

 夫など生計を維持している者が離職から2年以内、あるいは休業などによって収入が減少し、離職と同程度の状況にある場合が対象。その他、世帯収入や預貯金に一定の基準額が決められていて、それを超えないことが条件だ。

 大学生や高等専門学校、専修学校に通う子どもがいる家庭では、コロナによる家計急変によって、『給付型の奨学金』を得られる可能性がある。貸与型と違って、給付型は原則返済の必要がない。

「奨学金の窓口は各学校で、今は給付型奨学金を出すところも増えています。子どもが通う大学が対象となっているか確認して手続きしましょう」

 給付には、世帯所得と資産が基準額以下という条件があり、支給額は親の所得によって幅がある。国公立大学・短大で自宅外通学の場合で、月2万2300円から6万6700円が給付される。

 なお、大前提として、どの制度も基本的には自己申告制。自分で調べて必要書類をそろえて申告しないことには支援を得られない、と心得ておこう。

時給制のパートでも残業は25%割り増しに

 3月から続くコロナによる不況によってお金に対する意識が大きく変わった人も多いだろう。パート代など給料に対してもシビアになった。

 “労働の対価としてお金をもらうのだから、1円たりとも取りっぱぐれてはいけない”という思いが強まっているようだ。この機会に給料明細をじっくり見てみよう。

「チェックポイントは、まず残業時間。1日の労働時間は、原則として8時間、1週40時間と労働基準法で定められています。それを超えた分を雇い主は残業手当として25%の割増賃金を支払う必要があります。残業手当は雇用形態にかかわらず、すべての労働者に支払わなければならないもの。パートタイマーやアルバイトなど短時間労働者ももちろん含まれます」

 ちゃんと残業時間が合っているかをチェックするため、自分で勤務時間を把握しておくことが大事だ。例えば、出社・退社時間をメモする、スマホでタイムカードを撮っておくなど。

 ただし、労働基準法で定められている“法定労働時間”ではなく、会社が“所定労働時間”を設けている場合も。

「所定労働時間は法定労働時間の範囲内で定めます。例えば1日7時間を所定労働時間と定めている場合、8時間働いても法定労働時間内なので、会社は残業代を支払う必要がありません。

 ですが、所定の労働時間を超えたら残業代を支払ってくれる会社もあります。法定か所定か、どちらの労働時間を基準に残業が発生するのかは、雇用されるときにもらう就業規則などに記されているはず。1度読んでおくとよいでしょう」

 本来、残業時間は1分単位で計上するのが正しい方法だという。

「ただし1分、2分という端数は1か月まとめて計算する際に30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げてもいいことになっています。会社によっては10分単位で残業代を計算しているところも。残業の端数処理についても就業規則などを見てみましょう」

 次に、給与明細の有給休暇の日数を要チェック。ちなみにパートであっても“勤続期間が6か月以上”“契約上の全労働日数の8割以上出勤”などの条件を満たせば有給休暇を取得できる。

「コロナの影響で、会社から休むようにと言われたのに、有給休暇として扱われてしまったという苦情を耳にします。給与明細の有休日数に数字が記入されていれば、有休として処理されたことになります。有休は旅行とか自分の楽しみのために使いたいですよね。本来は、会社の都合によって休んだら、休業手当が支払われるべきなんです」