YouTubeで伝える「政治」

原田 たしかに、放置自転車問題は、神様が作ったものでもなんでもないですよね。

 中田さんのように世の中に疑問を抱ける人は、選ばれた人だと思います。僕は放置自転車を見てイヤな気持ちになっても、すぐ忘れてしまうから「じゃあ俺が街を変える!」とは、なかなかなれないんですよね。

中田 いやいや、原田さんのように関心を持つことが大事です。だから、関心を持ってもらうために、YouTubeで「中田宏チャンネル」という無料動画を上げ、日本や世界情勢を解説してます。

原田 動画拝見しました! すごくわかりやすかったです。

中田 僕の見解を押しつけるのではなく、なるべくわかりやすく伝えるように心がけています。今度、原田さんの疑問にもお答えします!

原田 ありがとうございます!

原田 最近、「豊かな生活を送る方法」を子どもたちにどう伝えていくべきかについて、考えているんですよ。例えば、学校の授業では、普段出会えないようなおもしろい人生を歩んできた人が子どもたちに話をする機会を設けられないものかな、とか。そうすれば、子どもたちがいろんな価値観に触れられると思うんです。

中田 たしかに、社会の仕組みとして子どもたちに考える機会を与えるのは重要です。その一方で、親自身もわが子にいろんな価値観を伝えていく責任もありますよね。

原田 まずは自分の周りと。

中田 僕は横浜で子どもを育てたんだけど、都市は、お金を払えばたいていのものが手に入るきわめて人工的な街です。そこで、子どもに“何もない大変さ”を知ってもらうために毎年、夏休みに子どもたちを連れて「四国八十八か所」を巡っていました。行き帰りの飛行機以外は、1200キロすべて歩きました。

原田 すごいですね! お子さんたちに文句を言われませんでした?

中田 小学4年生くらいにスタートしたから、文句は言わなかったね。八十八の寺を巡って納経帳に御朱印をもらうという流れが「スタンプラリー」みたいで楽しめたのかもしれない(笑)。

 お遍路は僕のやり方だけど、いろんな価値観や道徳心を子どもに伝えていくのは、親の重要な役目だと思いますね。

原田 なるほど。実は僕、毎晩、近所のゴミ拾いを日課にしているんです。家の前の公園や、小さい子が遊ぶ砂場のゴミを拾って、自宅に持ち帰って捨てています。僕の行動を見ていたからか、うちの子どもたちはゴミをそのまま放置しないし、ポイ捨てなんて絶対にしません。もしかしたら、少なからず僕の道徳心が伝わっているのかもしれないですね。

中田 素晴らしい! 僕は横浜市長のときにゴミの分別の仕組みを導入しました。以前、全国のゴミ事情を研究したことがあるのですが、ゴミの分別が多い地域はポイ捨てが少ないことがわかりました。幼いころからゴミの分別に親しんでいたら、成長してもポイ捨てしなくなる。原田家は、親の姿を見せることで善の循環につながってるんですね。

 いやー、今日は本当にいい対談だなあ。あと3回くらいやりたいよ!

原田 アハハ!