「空き家」を売る、もしくは貸すならできるだけ価値を高めることが大切。適切に対応していれば、それだけ条件も有利になります。

選択肢1:売る

 空き家を売る決意をしたら、まずは登記簿(登記事項証明書)のチェックが必要になります。

 登記簿には、土地や建物の広さや所有者、権利関係などが記されているので、家の正しい情報がわかります。

 登記簿は所轄の法務局や登記所で請求できますが、最近はインターネットで閲覧・証明書の発行が可能。遠方にある空き家の登記情報も簡単に調べられます

 自分で簡単に空き家の価格相場を調べるには、「SUUMO」など大手不動産検索ポータルサイトが便利です。条件の近い物件をチェックすることで大まかな価格がわかってきます

 相場がわかったら、少なくとも2~3軒の不動産会社に査定を頼み、なるべく条件のよいところに仲介を依頼しましょう。

 編集部の調べによれば、売買の際、何より有利なのは、買い手のコスト削減になる、「住宅ローン減税」が適用される物件。あてはまるのは木造住宅なら築20年以内が条件なので、それ以前の古い住宅は「既存性住宅性能評価書」を申請し、審査に通れば適用が認められます。

 また、物件の引き渡し後に、雨漏りなど瑕疵(欠陥)が見つかったとき、補修に必要な費用が保険金で支払われる「既存性住宅売買瑕疵(かし)保険」に加入しても住宅ローン減税に適用されます。この保険がつけば、買い手も安心できます。しかも、支払いは加入時1回のみで10万円程度、審査も甘めといわれています(編集部調べ)。

 さらに、大久保先生によれば、実際に売りに出される際は、「古い家ならではの魅力的な資材、無垢(むく)の板張り、漆喰の塗り壁、御影石の玄関など、親の古い家のよさのアピールを忘れずに」とのこと。

「実際に私の親の家も築30年を超えていましたが、使われていた木材が、今では手に入りにくい希少なものだったので、気に入った方が不動産会社の提示額より1割強高い値段で買ってくださいました」

相続税の「3000万控除」を活用!

 細かい条件がありますが、下記のような控除があるので利用できるか調べてみましょう。

・空き家も条件を満たせば控除対象
 1981年5月31日以前に建築された戸建てで、被相続人がひとり暮らしをしていた家。さらに相続開始から売却まで誰も住んだり使用しなかった家に関しては譲渡所得額から3000万円の特別控除が受けられます。

・一時でも住めば控除拡大
 相続する不動産が居住用で居住実態があれば、譲渡所得額から3000万円の特別控除が受けられます。例えば親に介護が必要となり一時的に同居するといったことがあれば、住民票も移しておきましょう。

・事業を行っている土地なども対象
 被相続人の配偶者や同居家族が相続する場合、相続した土地の330平方メートルまでは80%減額されます。ほかにも相続開始前から事業を行っている土地、貸し付けしている土地も対象。建物は対象外です。

《登記簿はネットでチェックが手軽!》
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