ネットワークビジネスの入会用説明会でも、すでに会員になっている人を会場にサクラとして用意しておき、笑わせたり、大きく頷かせるといった空気の醸成が行われることがあります。これは人が空気に引っ張られる生き物である特性を利用した演出ですが、オンラインでは、話し手のオーラは薄くなり、聴衆の空気もあまり伝わってきません。これは、見方を変えると、普段より、自分の感覚に基づいて判断できるようになるとも言えるでしょう。周りに流されることがなくなり、熟考して判断する余裕が生まれます。つまり、より人の本質が見えるようになるということです。

“気遣い”が通用しない!?

 ほかに失われるものも見ていきましょう。私は常々“コミュニケーションの上手い人は、コントリビューションができる人”と言っています。コントリビューションというのは“貢献”という意味ですが、コミュニケーション中に、相手に貢献できている人が、“きちんとコミュニケーションができた”と思ってもらえるのです。コントリビューションは、主に以下の4つです。

(1)相手に気持ちよくしゃべってもらう

(2)相手が興味を持つような情報を伝える

(3)笑わせる

(4)気を遣う

 (1)は聞く技術、(2)と(3)は話す技術なので、割と習得が難しいものです。ビジネスの場では、特に新入社員や若手社員が会議などの場で、上司や先輩相手に②と③をするのは難易度が高くなります。プライベートで初対面の異性と食事をするケースも同様です。しかし、(4)の気遣いに関しては、誰でも簡単にできるものです。もう少し詳しく言えば、気遣いは初歩の定型のものだけ覚えて実行すれば、“気遣いができる人”と思ってもらえるコスパのいい技術と言っていいでしょう。

霜田明寛さん
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 会議の場で言えば、相手が入ってきた瞬間に席を立つ、食事の場で言えばおしぼりやフォークなどを相手に渡す、グラスが空いていたら“何か飲みますか?”と聞く……といった初級のマナー本に書いてあるような内容です。これらはいわば型なので、そこに心があるかよりも実行しているかが問われ、型さえ覚えれば誰でも簡単に実行可能なものでした。

 しかし、オンラインにおいては、これらの“気遣いテクニック”がすべて封じ込まれます。ZOOMの画面に上座も下座もありませんし、コップが空いていることに気づいても注ぐことができません。オンライン上では従来の気遣いテクニックが通用しないのです。そうなると、今まで場の空気を読むことに長けていたり、“細かいところによく気づくね”と言われていたタイプの人は不利になります

 このように、オンラインでのコミュニケーションは、従来のものと同じだと考えてはいけないということを覚えておいてください。

 第2回は『話し方・聞き方編』ということで、オンラインでの会話において、どう話し方や聞き方を変えるべきかをお伝えします。