口座や証券の一覧表『財産目録』を作ろう

 夫婦間で共有しておくべき情報を整理するために『財産目録』の作成を岡野さんはすすめる。書く内容は──、

「預金している銀行名と普通預金、定期預金など口座の種類、口座番号。取引している証券会社名。加入している保険会社名と死亡保険など保険の種類。貸金庫の有無と利用している金融機関名など。配偶者が亡くなったとき、取引先に確認できるように、どこに何があるかという最低限の情報を記入しておくのです。もちろん預金残高や株の銘柄と価格など細かい情報を記入してもいいですが、預金は出し入れしますし、株価は変動します。夫婦といえども、すべてを開示するのはハードルが高いので、最低限でOK」

 最近はネットバンクやネット証券を利用する人が増えている。紙の通知が届かないので、これこそ遺族は存在すら知らず、“無”になってしまいかねない。財産目録があればひと目で存在を確認できる。

 ほかに共有しておきたいのが、契約しているクレジットカードの会社名と番号。クレジットカードのポイントは、航空会社のマイルに変換すると消滅せず、相続できるのだ。

 個人情報が詰まったパソコンやスマホのパスワードを開示するのは抵抗があるかもしれない。しかし所有者が亡くなったあと開けられなくなるので共有しておきたい。

 また、忘れてならないのが不動産の情報だ。

「一般的な不動産であれば、毎年4~5月に固定資産税の納税通知書が来るので把握できます。ただし、山や僻地の土地など不動産価格が一定の基準より低い場合は固定資産税がかかりません。そのため通知が来ないので、家族は把握できない場合が

 夫が若いころに山奥の別荘地を購入していて、妻はまったく知らず、死後に権利書が出てきてビックリ! といったケースが実際にあるそうだ。

「こんな土地、いらないと思っても、相続人である妻や子が相続しなければなりません。地元の役所に寄付できればいいですが、使い道がない土地はなかなか引き取ってもらえないのが現状のようです」

 自宅の土地のことも知っておく必要が。

「例えば、家の前の道路が私道になっているケースがあります。もともと1本の道を両隣など周りの家族と一緒に共用し、何分の1かを所有という形になっていたりと複雑だったりします。夫の死後、売却しようとしたときに困らないように、今のうちに法務局で不動産の登記簿謄本をとっておくことをおすすめします。それを見れば誰が所有者かすべてわかりますし、夫の所有分も把握できます」