「“ルーマニア人のネタで出演を決めたんだよ~”と、プロデューサーに言われて。“何がどう転ぶかわからない世界だな”と、若いながらに思いました」

 こう話すのは、『どうぶつ奇想天外!』(TBS系、以下『奇想天外』)に出演していた鈴木蘭々

 女優の萬田久子に初めて会ったときに「あなた、ルーマニア!?」と言われたエピソードを『笑っていいとも!』で披露したところ、スタジオがドっと沸いた。それで『奇想天外』の出演オファーがきたのだという。

 1993年開始の『奇想天外』は、世界中の動物の生態をクイズ形式で紹介する番組。みのもんたが司会を務め、鈴木のほかに、高田純次や渡辺満里奈らが主な解答者として出演していた。

 クイズは絵を描いて答える形式。鈴木は、個性的な絵の珍解答でたびたび注目を集めていたが……。

珍回答を求められるポジションだと勝手に思っていたので、正解がわかっても珍解答をしていたときがあります。誰かが教えてくれるわけでもないんですけど、自然とそうしている自分がいるんですよね。その方向性が合っていたかは別として、若いなりにいろいろキャッチして一生懸命やっていたんだと思います」

 そのさじ加減については難しいところもあった。

「1度マネージャーに怒られたことがあります。“絵が過激で、最近やりすぎ”と。例えば、びっくりした動物を描くときに、びっくりしているだけじゃなくて口から血が出ているとか…(笑)」

  スタジオでの収録日は1日中、忙しかった。

「毎週水曜日か木曜日だったかな。確か2本録りだったと思います。その日は収録で1日ほぼ埋まって、前後に取材が入ったりするような感じでした。誰に会ったかも、何の仕事をしたのか覚えていないこともたくさんあって。たまにYoutubeで過去の動画を見たら“こんな人に会ってたんだ!”“こんな仕事してたっけ?”と思うこともあります」

動物学者・千石先生とのロケ

 そんな中『奇想天外』で行く海外ロケは、リフレッシュにもなっていたそう。

「ニューカレドニアは自分の中で思い出深いロケ。保護地区みたいなところにミカドヤモリを探しに行ったのを覚えています」

 ニューカレドニアには、長髪・眼鏡という独特な風貌とユーモアたっぷりの語り口で、番組の名物キャラとして人気者になっていた動物学者の千石正一先生と一緒だった。

「千石先生は主に爬虫類研究の先生だから、爬虫類を見ると子どもみたいにテンションが上がるんです。ヘビをつかまえたら“目がかわいいんだよ!”なんて。ミカドヤモリを見つけたときも、先生はハシャいでいて、こんなにハマれるものがあるってスゴイな、と」

 子どものような姿を見せる一方、ジャングルの中をひたすら歩く過酷なロケでは……。

「熱中症みたいになることもあるんですけど、千石先生は時差とか寝不足とか、なぜこうなっているのかという状況を理解してくれるんです。だから、“二酸化炭素を吸えば大丈夫だよ”とか“糖分とったほうがいいね”といった対処が適切でしたね」