『ズームイン!!朝!』(日本テレビ系)の名物コーナー「ウィッキーさんのワンポイント英会話」で人気者だったアントン・ウィッキーさんは今も元気。都内の各カルチャーセンターで、なんと週7日ペースで英会話の授業を行っている。さらに、明るいキャラクターを活かして結婚式の司会をすることも。

徳光(和夫)さんのギャラが先入観にあるから『高いんだろうな』って躊躇する人も多いけど、私は『来た仕事は断れない』と思って1回15万円でお受けしています。仕事がなくて困ってる人もいるのにバチが当たるよ!

ビートたけしだとは気づかずに

 FM甲府『ごきげんな昼下がり』で「ウィッキー PICK UP」という木曜日のコーナーも担当中。だが、2003年にくも膜下出血で倒れた際には、一時は心肺停止に。後遺症はないもののテレビ出演は意識的にセーブしているという。

今は80歳も過ぎて見た目が当時のウィッキーじゃないし、しゃべり方もちょっとゆっくりになってきているんです。ラジオだったら何とかもつけどテレビは人としゃべらなきゃいけないから

 とはいえ、テレビの印象は強い。「ワンポイント英会話」には名(迷)場面が数々あった。確定申告の時期、街行く人に税金について質問しようとしたウィッキーさんが、「tax」を「taxi」と聞き間違えた相手に無理やりタクシーに乗せられるという事件が好評を博し、試験的に始まったこのコーナーはレギュラー化。特に印象深いのは、鞍馬天狗の格好のビートたけしが乱入した回である。

あれがたけしさんだって私は気づいてなかったの。走りながら壁に頭をボンボンぶつけるんだけど、本番中だから怒るわけにもいかない(笑)

 こうした活躍で稼いできたお金を、彼は祖国のために役立てている。

スリランカに、保育園を5つ作ったの。今も子どもたちの衣服のお金を私に頼ってくれているから頑張って働かないと。もしこれが日本の保育園だったら、私の稼ぎでは無理無理。とっくに窓から飛び降りてるよ(苦笑)


アントン・ウィッキー ◎1936年、セイロン(現スリランカ)生まれ。セイロン政府水産庁に勤務後、来日し東京大学農学部大学院で博士号を取得。『ズームイン!!朝!』の「ワンポイント英会話」コーナーを1993年まで15年間担当し、絶大な人気を集めた。

取材・文/寺西ジャジューカ