浮かれた選手から陽性者も……

 輪をかけて、柔道やレスリングなど選手同士が激しくぶつかり合う種目から陽性者が発覚してしまう。練習相手を務めていたメダル候補の選手も隔離されることになり、「コロナによって奪われたメダル」などの見出しがネットニュースで躍る悲劇の選手がいる一方、選手村への酒類の持ち込み、コンドームの無料配布が仇となり、ハメをはずしている最中に感染したことが発覚した、お騒がせ選手も報道された。

 なんとか不安ムードを払拭したい関係者は、猛反発にあったパブリックビューイング──ではなく、開会式後に聖火が移されるお台場聖火台エリアに一縷の望みをかけていた。ただでさえ人出の多いお台場エリアだが、五輪開催時は『オリンピックプロムナード』と称し、数々のイベントが行われた。

 結果として、人数制限こそ設けたものの夏の陽気に浮かれた人々が大挙して押し寄せる。その様子を海外の放送局が「コロナウイルス培養地」と発信し、いろいろな意味で物議を醸すことに。

 時を同じくして、お台場ではトライアスロンが行われており、かねてから問題視されていた水質汚染が再浮上。関係者が「コロナに比べればマシ」とも取れる失言を発し大顰蹙を買ってしまう。フィールド外では、看護師をめぐって五輪のボランティアとワクチン接種のボランティアが駆け引きを行い、どこまでも国民不在のオリンピックは盛り下がっていく……。

トライアスロンのテスト大会でも「臭い」という声が上がっていた東京・お台場の会場
【写真】本当に安全? 聖火リレーキャラバン隊の“密”な状況
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 前回の'64年東京五輪は、戦後の復興という大きなテーマに向かって、国民が同じ方向を向いていた。しかし、今回の東京五輪はそうではない。政府や東京都、組織委員会、IOCは開催ありきで話を進め、国民にいたっても賛成派と反対派で真っぷたつに分かれている。前出の奥田先生は説明する。

ワクチン接種が間に合わないなら、抗新型コロナウイルス治療薬として、未承認だがアビガンやストロネクトール、カモスタットなどの薬剤がある。治療について医師が正しい知識を持つことが前提だが、それらを組み合わせればほとんどの人が早期であれば治療可能であると、私を含め多くの治療にあたる医師たちが口にしています。

 エイズも、3種類の治療薬を混合し、飲むことで、今では先進国において亡くなる人は、ほぼいなくなりました。あるものを有効活用し、正しく議論し、総力戦でコロナに立ち向かったうえでオリンピックに舵を切るなら、まだ理解を示すこともできる。しかし、現状は現実的な議論が足りない」

 最悪のシナリオは“if”でしかない。だが、あまりにも問題が山積みだ。

PROFILE●奥田研爾(おくだ・けんじ)●横浜市立大学名誉教授、元横浜市立大学副学長。ワクチン研究所を併設した奥田内科クリニック院長。'12年には元日本エイズ学会理事など。著書に『この『感染症』が人類を滅ぼす』(幻冬舎)、『感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ』(主婦の友社)など多数。