部屋の片づけや地味ごはんなど、素朴で味わい深い内容が幅広い世代から注目を集めているほっこり系の“シニアYouTuber”。ぼんやり眺めて和むもよし、料理や趣味の参考にするもよし、いつか自分がチャレンジするときのお手本にするのもよし! フォロワーを増やし続けるチャンネルを紹介します。

癒し系と話題! シニアYouTuber

 コロナ禍も重なり、最近のシニアのユーチューブの視聴時間は、LINEの利用時間と並ぶほど、大幅に増加している(※株式会社マクロミルが2020年12月4日~8日に行ったインターネットリサーチの結果を参照)

「視聴者の2~3%の人が、自分でも動画配信を始めるといわれていますから、視聴者数だけでなく、ユーチューバーとして配信するシニア層も必然的に増えています」

 と言うのは、自身もユーチューバーであり、ユーチューブのノウハウを発信するなーちゃん

 シニアが登場する動画は、若い世代とは異なるリアクションの妙と和やかな癒しという2つの要素を持つため、人気を得やすい。なーちゃんいわく、“ペット動画と並ぶキラーコンテンツ”なのだ。

テレビ画面でユーチューブを視聴する家庭が増えたことも追い風に。かつての“ご長寿クイズ”のように、“シニア動画”はリビングで家族全員が楽しめるエンタメになりうると思います

 ブログのような日常動画や料理など趣味を活かした動画、健康や美容、お金などのお悩み解決系は注目のジャンル。動画を通じ、老後の疑似体験を提供できるのもシニアユーチューバーの魅力だ。

好きなことの発信は、年齢に関係なく楽しい。見る側も配信する側も、いい刺激になりますよ

なーちゃん……登録者数220万人を超えるチャンネルを持つママYouTuberとして配信を行う傍ら、YouTubeのノウハウを知る専門家としてメディアで発信。アニメプロデューサーとして、YouTubeでアニメ『サメニンジャー』も公開。

『ももかっちゃんねる』

『ももかっちゃんねる』の「料理レシピ」サーターアンダギーやジューシー(沖縄の炊き込みご飯)など、沖縄の名物料理を直伝のレシピとともに紹介。(YouTubeより)
『ももかっちゃんねる』の「料理レシピ」サーターアンダギーやジューシー(沖縄の炊き込みご飯)など、沖縄の名物料理を直伝のレシピとともに紹介。(YouTubeより)

 84歳年の離れたひ孫・ももちゃんと動画配信を行う元気な沖縄のおばあ・かっちゃん。80歳を越えて“YouTuばあ”として活動を始めたワケは? そして、これからの目標を聞きました。

 チャンネル開設は2年3か月前。息子を亡くし、ボーッと家にこもりがちのかっちゃんを元気にしたいと、孫夫婦が声をかけたのがきっかけだ。

配信を始めてから、生き生きとした笑顔を見せてくれるようになりました。今では自ら、撮影の確認や準備をするほどです

 そう話すのは、動画の企画や撮影を行う孫のKaKaさん。視聴者からの“かわいい”や“お元気ですね”というコメントがかっちゃんの元気の源になっている。

「高齢のため、最近では体調不良で動画が撮影できないこともありました。でも、かっちゃん自身は、100歳のユーチューバーを目指したいと意欲満々です!」

かっちゃん……昭和6年11月6日生まれの89歳(やいびん=です)。趣味:読書/好きな食べ物:魚料理/好きな有名人:孫に似ているKAT-TUNの上田竜也さん

pokkoma life

『pokkomalife』(YouTubeより)
『pokkomalife』(YouTubeより)

「癒される」と評判の「pokkoma life」。お金で買えない時間を得ているという、ユーチューブの魅力を語ってくれました。

 一昨年、趣味のパン作りのレシピを検索していた際、何げなく開いた動画でユーチューブ沼にハマったpokkomaさん。

ユーチューブ=若い世代のものという固定観念が崩れ、こんなに楽しい世界があったのかと。パン作りの工程も動画のほうが私たち世代にはありがたいと思いました

 おすすめ動画を見ているうちに、自分でもやってみようと一念発起。すると、スタートからたった3か月ほどでチャンネル登録者が増え始め、2万人を超えた。

登録者が急に増えたのは、当時、60代の日常動画系の配信がほとんどなかったからかなと思います。同世代を中心に、30~40代の方にも見てもらえたのは驚きでした

 配信で得る収益は月に2~3万円程度と多くはないが、配信者仲間や視聴者との交流など、お金よりも大切な楽しみを得ている。

夫が動画の撮影を手伝ってくれるなど、共通の趣味として楽しめているのもうれしい。ユーチューブが“ただの同居人”だった夫婦の関係を修復してくれました。そのことは動画でも配信しています

Q.大変だったこと、難しいことは?

登録者数や視聴回数などの数値の増減に一喜一憂し、悩んだときもありました。次の動画を作るモチベーションを常に維持するのが大変でした

Q.1本の動画制作にどのくらいかかる?

日常で撮りためた動画を3~4日かけて編集します。決してラクな作業、高収入ではありませんが、それに勝る大切なつながりが得られました

●pokkomaさんヒストリー●
2019年→パン作りを検索、これをきっかけにYouTubeの楽しさに気づく
2020年3月ごろ→チャンネル開設、最初は再生回数が1日で2回の日も……
2020年7月初旬→突然視聴者数がアップ、チャンネル登録者数が2万人突破!
2020年10月ごろ→YouTuberの仲間との出会い、お金には代えられない交流に感謝する
2021年現在→チャンネル登録者数3.08万人、人気動画は125万回再生!

pokkomaさん……63歳。夫と2人でマンション暮らし。約1年4か月前にYouTubeチャンネル「pokkoma life」を開始。自分で撮影から編集を行い、月に2~3本の動画を更新している。