マイホーム売却で損をしないポイントと段取りを山本さんに詳しく教えてもらった。

「不動産売却で最も重要なのは、頼りになる不動産会社を選べるかどうか。名前の知られた大手なら絶対に安心というわけではなく、地元で厚い信頼を得ている中堅の業者や、高い志や発想力で勢いのある中小の業者など、不動産会社といってもいろいろなバリエーションがあります」

 不動産会社を選ぶうえで特に気をつけたいのが「両手仲介」に対する考え方だという。

自宅売却トラブルが急増。自分が売り主の場合クーリングオフができないので、安易な契約は慎重に
【写真】自分が売り主だとクーリングオフができない!

「ひとつの物件の売買取引で、1社の不動産会社が売り主と買い主の双方を仲介することを両手仲介といいます。これに対して、売り主と買い主のそれぞれに別の不動産会社が入って仲介を行うことは、片手仲介と呼ばれています」

 両手仲介ができれば、不動産会社は売り主と買い主の双方から仲介手数料を貰うことができる。そのため、積極的に両手仲介を狙っていく不動産会社は多い。

 なかには両手仲介に固執するあまり、ほかの不動産会社に対して売り物件の情報を故意に隠したり、他社からの購入希望を握りつぶしたりといった「囲い込み」が起きてしまうことも。どちらも広く買い手を探したい売り主にとっては背信行為だ。

いい不動産業者の見極め方

「できるだけ高く売りたい売り主と、できるだけ安く買いたい買い主という、利益が相反する二者を一度に抱えることは、初めから無理がありますよね。ときには買い主の希望を優先して、売り主に物件の値下げを“助言”するようなことも考えられます。

 片手仲介であれば売り主の利益だけのために忠実に動いてくれるので、片手仲介に応じてくれるか確認することは、信頼できる不動産会社かの判断材料になります

 多くの人は、住所や築年数などの情報で価格をざっくりと査定する「簡易査定」を頼む段階で初めて不動産会社と接触することになる。近年ではインターネット上で物件の情報を打ち込むだけで、複数の不動産会社による一括簡易査定を行えるサービスもよく利用されているが……。

「不動産会社が無料の簡易査定を行うのは、そのまま自分の会社と売却のための媒介契約をしてもらいたいため。一括査定をしたあと、複数の会社からのしつこいセールス攻勢に悩まされるというケースも後を絶ちません。よくわからない一括査定よりは、大手、中堅、中小といった毛色の違ういくつかの会社を自分で選び、それぞれで簡易査定をすることをおすすめします

 よく「この物件を買いたいお客様がいます!」といったチラシがポスティングされていることもある。こういった定型の謳い文句を使ってくる業者にも注意が必要だ。

「媒介契約をとるための“撒き餌”であることが多く、本当に買いたい人がいたとしてもその不動産会社で有利な売却ができるかは別問題です。簡易査定のあとにも“実はもう購入希望のお客さんがいますよ”とささやかれて、媒介契約を急かされることもあるかと思いますが、あまり真に受けないほうがいいでしょうね」

 簡易査定をすませたら、さらに2~3社に絞って、訪問査定を依頼することになる。実際に物件を見てより詳細な査定額を出してもらう流れだが、初めて営業担当者と対面する機会にもなる。この担当者との相性もとても重要だ。

いい不動産業者というのは、“会社と担当者の掛け算”で決まってきます。その会社が両手仲介をせず、顧客目線の対応をしてくれる会社なのかはもちろん大切ですが、対応してくれる担当者が自分と同じ方向を見てくれているかも大事です。どちらかひとつでもマイナスがあれば、結果として損をするような売却になってしまいがちです」

 信頼できそうな不動産会社でも、担当者の経験が不足していたり、有能なあまり顧客を抱えすぎて対応がおざなりになるケースもある。