大問題(3)住み替え先で後悔!? 隣人トラブルご用心

 今まで一戸建てに住んでいたシニア層が“終のすみか”として、マンションを選ぶケースも増えている。


マンションのエントランス、共用部分のエレベーターなどがきれいに保全されているかも大切

マンションのエントランス、共用部分のエレベーターなどがきれいに保全されているかも大切

【写真】固定資産税が大幅に減るかも! 減額措置の条件を説明した表

「高齢になると階段の上り下りや庭の手入れがおっくうになる。マンションならオートロック・防犯カメラもあるのでセキュリティー面でも安心。このような理由で、マンションを“終のすみか”に選ぶ人が増えています」

 しかしその際、気をつけなければいけないのが、マンション選び。一戸建てを処分して“終のすみか”とするのだから、慎重には慎重を期したい。

「中古で購入するなら、ポイントは管理組合のよしあし。理事会の開かれる頻度や積立金の滞納がないか。さらに長期修繕計画や理事会の議事録も必ずチェックしてください」

 さらに内見する際、住人同士が挨拶を交わしているか、共用部分に物が散乱していないかなども重要だという。

引っ越した先でいちばん問題になるのが、隣人との人間関係。ゴミ出しや、子どもの足音などの生活音の問題など、戸建てとは違うトラブルになる要素はたくさんあります。居住者の意識の高さを知ることも、大切なことです」

大問題(4)所有者がいない!? 悲劇の“相続放棄”

 築年数の浅いマンションは買い手がつくが、老朽化したマンションは建物、給排水菅のメンテナンスがされてないケースも多く、買い手がつかないケースも増えている。

「老朽化の進んだマンションの所有者が亡くなると、一般的には親族が相続するわけです。しかし相続しても修繕費用などの管理費用がかさんだり、固定資産税などの支払いが発生するため相続放棄されるケースが増えています」

 マンション相続を放棄する場合、管理費や修繕積立金の滞納などの債権を相続する権利を持った人たちが、家庭裁判所に『相続財産管理人』の選任を申し立てる。

 相続財産管理人は、不動産会社などに物件を売却。そこで得たお金で管理費、修繕積立金の滞納分やローンの残額などを債権者に支払い、残ったお金は国庫に納めることになる。

大問題(5)修繕の先延ばしで結果、負担が増大!

 大規模修繕工事は、建物の立地条件、日常的な管理状態、社会的な要因などで個々のマンションによって異なるが、おおむね12年周期で行われる。

「建築基準法で築後10年を経過した、外壁がタイル張りなどのマンションは、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要があると定められていることから12年周期という数字が一般的になっています」

 気をつけなくてはいけないのが、費用の内訳。外壁だけでなく屋上の漏水、給排水管など共用部分は管理組合、専有部分は自己負担になる

「自己負担金を出したくないと、進めなければいけない工事を先延ばしにすれば老朽化は進みます。結果、エレベーターや機械式駐車場などの修繕と重なり、余計にお金がかかってしまうという状況にも」

 自己負担を渋っているうちに定年退職。収入は減り、部屋を担保に銀行などから、お金を借りなくてはならない場合も出てくる。

「余計な借金を背負わないためにも、適切な長期修繕計画を作成し、それに基づいて算出した修繕積立金を積み立てておくことが必要なのです」

 大規模修繕工事は、多額の費用がかかるので敷地および、共用部分の大きな変更を伴わない場合は、出席組合員の議決権の過半数で修繕工事を実施するか中止するかを決めることができる。老朽化が進んでいない部分にお金をかけない選択もできるのだ。

建設材料や塗料も新しくなった今、18年に1度でいいのではないかという意見も出ています