「日本のコロナ収束は来年の春ごろ」

 今年に入って、米国のとある機関がそんな予測をしていた。だが、医療ジャーナリストの村上さんは“もっともっと先になる”という。

「東京のワクチン接種率がカギになります。若者がどれくらい接種するかが焦点になっていますが、当面は0歳から11歳の子どもへの接種は見送られるし、接種したくない人もいます」

 全体の接種率が70%に達しない可能性もあるという。さらに、

「今年の11月ごろには希望する全国民に対して接種が完了するとしても、第6波がこの冬に来る可能性もあります」(村上さん、以下同)

 そのころになると、初期に接種した人のワクチンの効力が切れてくる。

「そうすると、3回目の接種をしなければならない。追加接種と新たな変異株の登場というイタチごっこを数回経て、やっと収束していくことになる可能性も少なくない」

誰が総理になるかがワクチン確保にも影響

 懸念材料がもうひとつ。それは政治だ。

「これから総裁選、そして衆院選と政治的な空白ができる。すると“国民に3回目の接種を行う”という判断が遅くなるかもしれない。さらに、誰が総理になるかによって、諸外国との交渉力も変わってくるので、ワクチンの確保にも影響してしまう」

 さらに、感染拡大を防止しつつ、経済も再開させなければならない。そこで、注目を集めているのが“ワクチンパスポート”だ。ワクチンの接種証明書のことで、感染拡大防止と経済再開を両立されるものとして期待されている。だが、前出の村上さんは、

「それがどこまで有効なのかは疑問ですね。結局、強制力があるものでないですから」

 と懐疑的。たとえばある居酒屋がワクチンパスポートを見せた客だけが入れるとして、

「3人のグループで1人だけパスポートを持っていなかったとしたら、その1人を帰すことができるのか。それはお店によって判断が分かれるでしょうし、中には入店を認めてしまうお店もあると思います」

 感染状況は少し落ち着いたように思えるが、油断は禁物のようだ──。