フォロワー数と影響力は関係ない

吉田 人はいま想像以上にバズに左右されていると思います。いわゆるネット右翼的な有名人の方々も、下手したら一部のリベラル系の人もそうだと思うんですけど、たぶんそれが大きかったと思うんですよ。そっち方面のことを最初に言ったときに思いのほかに反響があって、その手応えが忘れられなくなって、どんどんそっちに行っちゃっただけだと思うんですよね。

 最初はそれほど特定の思想があったわけではなく、Twitter上の振る舞いとして、ファンが喜ぶ方向、手応えのいい方向に流れていったパターンが意外と多いきがして。ただ、それで喜ぶのはお金を落としてくれるファンなわけじゃないから、バズとは麻薬みたいなものだと思うんですよ。バズらないと不安になってきて、どんどんそれを狙ったことをツイートするようになるという。

石川 フォロワーがたくさんいるからという理由で、もっと品行方正にしろって言ってくる人がいますよね。こちらを黙らせようとする都合のいい言葉なんですよ。

吉田 Twitterにおいては、影響力云々は何も関係ないんですよね。フォロワー数がゼロだって、リツイートされて一気に広がることも多々ありますから。フォロワーの数とか関係なく、誰でも同じように影響力はあるんです。だから、これからはどんどんアンチが来づらい方向でやればいいと思いますよ。TikTokでリズミカルに主張するとか(笑)。

石川 TikTokもアカウントがあるんですけど、何をすればいいのかよくわからなくて、ほとんど投稿してないですね。踊りながらラップとか? やってみようかな(笑)。

吉田 そんな石川さんも本のタイトルにあるように、もともとは空気を読む側の人だったわけですよね。

石川 読むというか、読もうとしていました。実際に読めていたかはわからないですけど。でも、読まないといけないと思って行動していた部分はありました。

吉田 今回のイベント告知に対しても「吉田豪は空気を読めているけど、石川優実は読めてねぇだろ」みたいな批判が目についたんですよね。

石川 読めるか読めないかの話はしていないんですよね。読もうとするか、読もうとしないのか。読もうとしていたけど、そこまで読まなくていいんじゃないか、ということを言いたくて書いた本です。

吉田 ボクは空気を読めすぎちゃって、読んだうえであえて波風立てるようなことをするかどうか考えてるタイプなんですけど、石川さんも今はあえて一歩踏み出そうと考えてやってる感じなんですよね。

石川 そうですね。なんでもかんでも読みません、という話でもなくて。もちろん読む部分もあれば、ここはあえて読まないでおこうとする部分もあります。空気を読むことを、多くの女性は自然にインストールしていると思うんですよね。あえて、読まない生き方を選択してみるのもいいのではないか、という提案ですね。ABEMA TVの番組でご一緒した田嶋陽子さんについて書いたところがあるんですけど。

吉田 あれはめちゃくちゃいいエピソードでしたよ。

石川 私は番組の空気を読んでしまっていました。台本の流れもあるから、もう言わないでおこうと思ったところ、田嶋さんは話題を戻して言ってくれたので、やっぱりすごいって思った。

吉田 番組の流れや空気をまったく読まずに。

石川 まったく読んでなかった。「戻っていいの?」と驚きました。やっぱそういうところがカッコいいですよ。