テレビにさほど興味のない人も「大映テレビ」はご存じのはず。かつて存在した映画会社・大映を源流とし、1971年に誕生したドラマ制作会社である。

 山口百恵さん(63)らが主演した全10作のTBS『赤いシリーズ』(1974年~80年)や同『スクール☆ウォーズ〜泣き虫先生の7年戦争〜』(1984年)などをつくり、名をとどろかせた。

 最近もテレビ東京『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(チェリまほ)』(2020年)が話題になった。TBS『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(2021年)などもヒットさせている。

「ありえない」も、視聴者を納得させる力業

 大映テレビ作品の特徴は(1)ありえない設定 (2)過剰で過激な演出 (3)人間の実像を隠さない (4)オーバーなセリフ……などである。

 たとえば『チェリまほ』の場合、主人公の冴えないサラリーマン・安達(赤楚衛二)が、30歳まで童貞だったことから、なぜか接触した相手の心が読めるようになる。

 こう文字で書くと「バカバカしい」で終わってしまうものの、安達自身の心の声を効果的に使うなどの演出が巧みだったため、ホントっぽく描くことに成功した。

 安達に秘かに思いを寄せる同期のモテ男社員・黒沢(町田啓太)は心の中で安達への胸の内を繰り返し叫んだ。安達に近づくだけで「めっちゃドキドキするんですけど!」と興奮した。いくらなんでもオーバーなのだが、作り方がうまいから、すんなりと受け入れてしまった。

 TBS『テセウスの船』(2020年)も制作している。これまた同じく、主人公の田村心(竹内涼真)が父・文吾(鈴木亮平)の濡れ衣をタイムスリップして晴らすという超ありえない話だったが、力業で視聴者を納得させた。

 それより大映テレビらしかったのは心とその家族を攻撃する人たちの醜さの描き方。心と家族は文吾が殺人を犯したことで周囲からとんでもない嫌がらせを受けた。もはや犯罪レベルだった。醜さも人間の実像なので、それも隠さないのが、同社の特徴の1つなのである。

 TBS『不良少女とよばれて』(1984年)の主人公・曽我笙子(伊藤麻衣子、現・いとうまい子)は逮捕歴6回の困った少女だったが、グレた発端は金銭問題に悩んでいた母・美也子(小林哲子)から「おまえなんか生むんじゃなかった」と言い放たれたから。ドラマはこういったセリフをオブラートに包みがちだが、大映テレビは堂々と前面に押し出す。