早寝早起きでしっかり食事をとる

 現在はひとり暮らし。週3日のペースで働く。毎朝5時に起き、5時15分からはZoomで日本の文化を学べる会員制のオンラインゼミを聴講。そのゼミの中で、月に一度、鈴木さんが着物について講師として話をしている。その後は新聞や書籍を読む、学びの時間に充てている。

スマホをサクサク使いこなす鈴木さん。「ブログの写真もこれで撮ります」
スマホをサクサク使いこなす鈴木さん。「ブログの写真もこれで撮ります」
【写真】東京パラ五輪で“バリアフリー着物”を車椅子利用者に着付ける鈴木さん

「仕事の日は、テレビを見ながら8時ぐらいに朝食をとります。健康のためにも食事は大事。『食べ物は薬』というのが、小学校の先生をしながら育ててくれた母の口癖でした。母は98歳まで長生きしたんですよ」

 料理は時間があるときに、3食分ぐらいまとめて常備菜を作るのが常。パンや麺ではなく、白米を主食にするようになってから便秘をしなくなった。

「仕事がない日の朝は少しずつ小皿によそい、ゆっくりとブランチを楽しみます」

 着物教室は講師の先生に担当してもらい、出社日は基本的に社長業をこなす。お化粧は毎日欠かさない。

『化粧だけはお金を惜しむな』というのも、母の教えのひとつ。顔は自分でつくるものだから『苦労はしてもシワは残すな』と言われていました。爪も弱くなってからはジェルネイルをしています」

 鈴木さんの母はしつけや教育に厳しかったそう。

「満州から引き揚げてくるときはほとんど何も持ち帰れなかったし、父はモンゴルに抑留されて亡くなったので、母は苦労したと思います。それで『身に付いた知識は無駄にならない』と考えていて、私は当時の女性には珍しく、短大まで進学したのです」

 母の教えが今の着物教室にもつながっている。

現在の生徒は50人ほど。着物が好きな60代以降の方が多く、複数の講師で指導する
現在の生徒は50人ほど。着物が好きな60代以降の方が多く、複数の講師で指導する

「起業したのは私の後継者を育てたかったから。教室を作って独立した先生もたくさんいらっしゃいますよ」

 長い人生、技術があれば活躍の場も広がると話す。