大食い界に新たなスターたちが誕生

 安全対策を徹底する──と宣言し、タイトルに『元祖!』を加えたテレビ東京の『元祖!大食い王決定戦』が復活するのは、3年後のこと。この時代のニュースターといえば、後に「ギャル曽根」の名で活躍する曽根菜津子と、その快進撃を止めた通算5回の優勝を記録する「魔女菅原」こと菅原初代だろう。

 特に、“美味しそうにきれいに食べる”という大食いのイメージを刷新したギャル曽根の登場は新時代を象徴するもので、女性フードファイター百花繚乱の幕開けを告げる。次の世代である第四世代の爆食女王「アンジェラ佐藤」こと佐藤綾里さんは、こう証言する。

「ギャル曽根さんが登場する以前までの女性フードファイターってびっくり人間のような存在だったと思うんです。私も引け目を感じるところがありました(苦笑)。でも、私が初めて出場したとき、周りの参加女性の皆さんがすごくキラキラしていたのが印象的だったんです」

 アンジェラの他、第四世代には佐藤ひとみ(ロシアン佐藤)や、三宅智子(エステ三宅)といった華やかな女性フードファイターが台頭する。ギャル曽根によって女性フードファイターへのイメージが変わったからこそ、『大食い女王決定戦』は盛り上がっていく。

「1回っきりでやめようと思っていたのですが、公平な勝負の世界に魅せられてしまい、今に至ります。スタッフさんを含め、みんな真剣なんです」(アンジェラさん)

 すっかり浸透したアンジェラという名前だが、当初は違うものになるはずだったと明かす。

「私はスキーをずっとやっていたので、当初は“アルペン佐藤”と呼ばれる予定でした。ところが、本番でMCの中村ゆうじさんが『アンジェラ・アキに似ている』という理由から、“アンジェラ佐藤”と命名されたんです。

 もしアルペン佐藤だったら覚えてもらえなかったと思います。今の私があるのは、ゆうじさんのおかげです」(アンジェラさん)

 続く女王戦で一躍脚光を浴びるのが、「もえあず」の愛称で呼ばれるもえのあずきだ。

もえあず
もえあず

「もえあずちゃんがいなかったらフードファイターになっていない」と打ち明けるのは、前出・MAXさん。彼ら彼女らが第五世代だ。

「僕はもえあずちゃんのいちファンで、彼女が挑戦した某ラーメン店のチャレンジメニュー(油そば2.8kg)を食べにいったんです。そしたら、余裕で食べることができて(笑)。それまで大食いをするという発想はなかったのですが、自分には素質があるのかなと思って、チャレンジするようになりました」(MAXさん)

 勿怪の幸いとはこのこと。MAXさんは初めて出場した大会で、全ラウンド1位通過の完全優勝を成し遂げるまでに。圧倒的王者・MAXさんの登場で、男性フードファイター界は再興し、檜山普嗣(檜山先生)、第六世代の新井義人(ラスカル新井)などの新星も現れるようになる。