【節約テク1~9】背伸びした“プライド出費”は子ども世帯の破綻まで招きます

 退職後の生活が現実味を帯びてくる50代以降は、老後の暮らしを具体的に想定することが大切だ。

「100歳まで生きると考え、年金はいくらもらえるか、貯蓄を月にいくら取り崩す必要があるのかを計算してみてください。その上で、老後の家計に合った生活にシフトしていくこと。若いころのように人の目を気にした“見栄出費”はやめ、元気なうちは働く覚悟を。それがお金の不安を軽減させます」(藤川さん)

1. “ちょっといいもの”を買う習慣をやめる

 ドレッシングや洗剤など、プレミア感のあるパッケージに釣られて「数十円の違いなら」と買いたくなるが、本当に必要か、買う前に自問を。「このちょっとの積み重ねが“消費メタボ”の原因です。日常の買い物ひとつとっても“本当にこのお金を払う価値があるか”をよく考える習慣を身につけましょう」(藤川さん、以下同)

2. お金のかからない趣味を持つ

「旅行や月謝の高い習い事などは、好景気時代の感覚で続けていると危険です」。自治体主催のカルチャースクールなど、お金をかけずに人と交流できるものを探そう。「人とのつながりは心を満たしてくれます。新たなものを始めるのは気力も体力も必要。退職後といわず、自分に合う趣味を早めに探すのがよいと思います」

3. 子や孫にお小遣いをあげない

「お小遣いをあげても感謝されるのは一瞬(笑)。もらったほうはすぐに忘れるものです。それより、老後の生活費を蓄えておくほうがよっぽど子どものためになります」。中には、家計が苦しいことを悟られないよう、無理してお小遣いをあげる人も。「子どもはもらったお金で身の丈に合わない贅沢を身につけ、親はお金がなくなって……。親子で連鎖破綻となるケースもたくさん見てきました」

4. 見栄のためにお金を使わない

 月に2~3回しか乗らない自家用車やブランドものなど、“承認欲求”を満たすための支出とは今すぐ決別を。「車を手放してガレージが空くと、近所の人に“家計が苦しいのかな”と思われそうで恥ずかしいと言う人がいますが、そんなことを気にしていてはダメ。見栄のために家計を圧迫しているものは、できるだけ早く手放したほうが生活がラクになります

5. 親の成功体験を自分に当てはめない

日本の景気がよかった時代は終わり、今は世代が下がるにつれて経済的に苦しくなっていると思います」。マイホームや負担の大きい生命保険に固執するなど、親世代の常識感覚でいるのは家計破綻のリスク大。その時代によって成功法則は異なるのだ。「親はそれを見て“かわいそう”と言うかもしれませんが、時代が違うのですから。自信を持って自分たちに見合った生活をすることです」

6. やりくり費にメリハリをつける

 50代後半になれば、住宅ローンや教育費など大きな固定費は減っていく傾向に。そのため、家計管理は食費や交際費など、個人の使い方に左右される“やりくり費”をどうするかが焦点となる。「とはいえ、やみくもに削ると、生活レベルが下がり、周囲との交流の機会を失う心配があります。優先順位をつけて、使うところとそうでないところを戦略的に調整することが大切。高級車に乗っているような人が、実は全身ファストファッションということはよくあります

7. プライドを満たす仕事にこだわらない

「今、労働人口は減っているので、シニアの働き口はたくさんあります。しかし、自分がやりたい仕事があるかというと、それはまた別の話。人手不足の現場は、体力勝負の労働や夜勤が求められることが少なくありません。でも、中にはファストフード店で若い世代と一緒に仕事を楽しむ人も。“そんな仕事はできない”と決めつけないで、新しい挑戦だと前向きに捉えることが人生を豊かにする秘訣だと思います」

8. 外食やレジャーの前にはクーポンをチェック

“億万長者”といわれる人と食事に行くと、皆さん堂々とクーポンを使っています」と経験を語る藤川さん。本当のお金持ちは、“クーポンを使うのは恥ずかしい”という虚栄心とは無縁なのだ。「使っている自分が他人にどう見られるかではなく、“同じ物を買うなら割引を受けたほうが得”と、合理的に考えればよいのです」

9. ひと手間かかる食材を選ぶ

パッと食卓に並べられる刺身や惣菜はラクですが、ひと手間かかる食材を選ぶほうが経済的です」。例えば、魚の“さく”を買って自分で刺身を切ってみたり、旬のお得な野菜で蒸し野菜を作ってみたり。「“これ、作ってみたの”と、家族や夫婦でゆっくりと食事を楽しむ時間はプライスレスです」

教えてくれたのは藤川 太さん
ファイナンシャルプランナーCFPR認定者。個人の資産運用に関するプランニングなどを行う「生活デザイン」代表。3万世帯以上の家計診断を行っている。著書に『サラリーマンは2度破産する』など。