処理水問題や不動産、バブル崩壊の影響は

 中国人旅行客の来日に水を差すような動きもある。

 ひとつは中国の不動産バブルの崩壊だ。今、中国では大きな不動産会社が2社、経営危機に陥っている。

中国の景気は低迷するでしょう。30年間ゼロ成長に悩んだ日本のバブル崩壊ほどではありませんが、2~3%程度の低成長が5~7年続くのではないかと私はみています。これは、従来6~7%の成長を遂げていた中国からすると相当な経済の減速になります。

 不動産投資をした儲けで海外で爆買いをしていた人も痛手を受けますから、日本での爆買いをやめる人も数多く出てくるでしょう」

 もうひとつ、頭が痛いのが福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を巡る中国政府の強い反発だ。中国政府は海洋放出を「無責任」と激しく批判し、日本産水産物の輸入停止にまで踏み切った。こうした動きを受けて、一部で訪日旅行をキャンセルする動きもあると現地メディアは報じている。

「旅行客減よりも怖いのが、中国政府が次なる輸出入制限を打ってくることです。例えば日本の製造業に欠かせないレアメタルを輸出禁止にする。あるいは、日本からの工作機器などの輸入を禁止する。そうした策に出てくると、日本の製造業はかなりの打撃を受けてしまいます」

 そうならないために、どうすればいいのだろうか。

「日本が製造業に依存した昭和的な経済運営を続けている限り、中国の動きに右往左往させられる経済になってしまいます。そうならないよう、国内で日々のエンタメや生活をもっと活性化して経済を回していく“内需主導型”の経済に転換していきたいところです」

 と加谷さんは大胆な提案をする。

「国内でのビジネスをいかに活性化するか。そういう意味では、インバウンド需要はチャンスかもしれません。単に外国人のためのものと考えるのではなく、旅行に付随するサービスやエンタメを拡大、充実させるひとつのきっかけとして考えてみてはどうでしょうか」